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ボッシュ幹部が明かす、「MaaS」でプラットフォーマーへ

ボッシュ幹部が明かす、「MaaS」でプラットフォーマーへ

独ボッシュが開発したMaaS向けコンセプトカー

 独ボッシュが、乗り物のサービス化「MaaS(マース)」戦略を加速させている。開催中のIT・家電見本市「CES」で、シャトルサービスを想定した自動運転型電気自動車(EV)のコンセプトカーを披露。部品から自動運転システム、保守サービスまで提供する、プラットフォーマーを狙う。

 披露したコンセプトカーは「レベル5」の自動運転を想定。利用者がスマートフォンなどで呼び出すと最も近い場所にいる車両が迎えに来て、スマホで個人認証を行い乗車する仕組みだ。車内はさまざまな使い方ができ、自宅の家電との連携も可能だ。電池状態などを管理する機能も搭載する。

 同社の担当者は「電動技術、自動運転技術、コネクティビティの全てが競争領域だ」と自信をみせる。既存の車メーカーだけに留まらず新興メーカーやMaaS事業を手がける企業など、あらゆる領域をカバーする考えだ。独ダイムラーと進める自動運転の実証試験でも知見を蓄え、将来はシステムとして提供することも視野に入れる。ボッシュは部品シェアトップだが、2020年代前半には訪れるとみられるMaaS時代でも覇者となるべく積極攻勢をかける。

独ボッシュ取締役・ディルク・ホーアイゼル氏に聞く


 ボッシュのMaaS戦略などについて、シャシーシステムコントロール事業部などを担当するディルク・ホーアイゼル取締役に聞いた。

―MaaSにどう取り組みますか。
 「ボッシュは駆動部品からインフォテインメント、センサーなど幅広い技術力を持つ。車に関連する技術があるのがIT企業とは違う点で、技術を基にサービスを提供する。自らがサービス事業者となるケースもあり、例えばすでにスクーターのシェアリング事業を手がけている」

―完成車メーカーとの関係性に変化は。
 「我々は完成車メーカーにとって“便利な”存在だ。既存の車メーカーにはこれまで通りの方法でサポートする。一方、新興メーカーに対してもさまざまなシステムやサービスを提供できる。パートナーシップを広げていく」

―ダイムラーとは自動運転の実証試験を進めています。
 「ダイムラーとの協業は重要だ。これまでと違う点は、ティア1サプライヤーと車メーカーが対等な立場にある点。我々はセンサーを作る技術にたけ、ダイムラーにはそのセンサーをどう車に組み込むかの知見がある。両社の強みを融合する」

―実証試験の進捗(しんちょく)は。
 「詳しくは言えないが、米サンノゼの公道を使って行う計画だ。現状の自動運転は(部分的や条件付きの)レベル2、3で一般消費者向けの量産車が対象だ。(完全自動運転の)レベル4、5はコスト的に車両管理事業者向けになる。サンノゼではサービス提供も想定して試験を進める」

―レベル4、5の自動運転は実現するでしょうか。
 「20年代の前半には、レベル4は実現するのではないか。レベル5の達成はもう一段階難しくなる。特定領域での利用になるかもしれないが、レベル4、5に向けた開発は進める」
独ボッシュ取締役・ディルク・ホーアイゼル氏

(文=政年佐貴恵)
日刊工業新聞2019年1月11日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
今年のCESはMaaSのソリューションや技術展示が花盛り。その中で最も統合的なソリューションを提案し気を放っていたのがボッシュ、デンソーの2社だと感じた。ボッシュは記事にあるMaaS車両に加え、2019年下半期にメルセデスSクラスを基にしたレベル4のロボタクシー事業にも共同で取り組む。MaaSに不可欠なリアルな部品事業とP2Cの全体的なアーキテクチャを設計、提供する力を有する。

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