自動車部品の再編に拍車、迫られるビジネスモデルの変化

メガサプライヤーが存在感示す

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クラリオンの次世代コックピットシステム。フォルシア傘下で開発を加速する
 自動車部品業界で再編の動きが目立ってきた。特に海外部品メーカーと日系部品メーカーが手を組む動きが顕著だ。仏フォルシアによるクラリオンの買収ほか、カルソニックカンセイは10月下旬、欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門、伊マニエッティ・マレリの買収を決めた。

 「活躍の場が大いに増える。チャンスをつかもう」。クラリオンの川端敦社長は26日の午後、さいたま市内の本社で仏フォルシア傘下入りについて、従業員を前にこう説明した。技術・販路の両面で、自社の競争力を最大化できると確信しているからだ。

 再編の背景にはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ぶ自動車業界の新潮流がある。中でも米グーグルなどIT大手が、乗り物のサービス化「MaaS(マース)」を収益源にしようと動きだしており、トヨタ自動車をはじめ完成車メーカーが対応を余儀なくされている。完成車メーカーの開発案件がふくれあがる中、これまで自社で主導してきた開発を部品メーカーに任せる傾向が強まってきた。部品メーカはより高い技術提案力が求められている。

 こうした中で存在感を示すのが独ボッシュや独ZF、独コンチネンタルなどのメガサプライヤーだ。巨大資本を武器にM&A(合併・買収)でセンサーやソフトウエアなど次世代分野に必要な技術を取り込む。一方で、非中核事業は他社に売却し、時代の変化にスピーディーに対応する。

 日本勢でもサプライヤー世界2位のデンソーが、大手やベンチャー企業との提携戦略を加速する。デンソーを含むトヨタグループの部品大手は自動運転と電動化技術に関連する二つの共同出資会社を、19年3月をめどにそれぞれ設立する。

 さらに、CASEを巡る競争激化は、日本の自動車産業の強みでもある、垂直統合型の取引構造“ケイレツ”にも変化をもたらしている。17年7月にはホンダが日立オートモティブシステムズ(日立AMS)と電動車用モーターの新会社を設立。日産自動車は8月に電池関連の子会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC)を中国の再生エネルギー事業者に売却すると決めた。現在は中国の電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)と距離を縮めている。ケイレツの垣根を越えた連携が広がる。

 ある日系大手ティア1メーカーの首脳は、日本に同業の部品メーカー数が多すぎる課題を挙げる。「欧米のメガサプライヤーだけでなく、中国企業も急速に力を付けている。我々が生き残るためにはM&Aや、例えば金型の開発や生産など一定の領域で協業するなどケイレツの垣根を越えた連携が必要だ」と再編の重要性を説く。

 自動車産業の変革は部品メーカーのビジネスモデルに変化を迫っている。自社の将来を見据え、国やケイレツといった枠組みを超え、誰と手を組むべきなのか。部品メーカーは生き残りをかけ選択する時期にきている。
(文=下氏香菜子)

日刊工業新聞2018年10月29日

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