次世代技術でボッシュやデンソーに出遅れる独ZF、また再編の引き金に?

研究開発に1.3兆円投資

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ZFの運転支援技術を搭載した試験車両
 独ZFは毎年20億ユーロ(2600億円)を超える研究開発投資を5年間継続する方針だ。自動運転や電動化といった次世代技術に重点投資する。独ボッシュやコンチネンタル、デンソーといったメガサプライヤーとの技術競争が激しくなる中、高水準の研究開発投資を続けて開発のスピードを速める。完成車メーカーへの提案力を高め、自動車業界の変革期を乗り越える。

 ZFの2017年の研究開発費は過去最大規模の22億ユーロ(2800億円)で売上高構成比は約6%だった。18年以降も同水準を継続する。自動運転分野では米エヌビディアと進める人工知能(AI)を使った車載コンピューターの開発投資を重視する。電動化分野では電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)用パワートレーンの開発を強化する考え。ソフトウエアの高度化にも注力する。

 ZFは変速機などパワートレーンが主力。15年に同業の米TRWオートモーティブを買収してエアバッグやセンサーの技術を獲得し、自動運転など次世代車向けの部品事業を広げた。日系自動車メーカーとの関係では日産自動車の自動運転技術に車載カメラが採用された。

 ZFの17年の売上高は過去最高の364億ユーロ(4兆7000億円)だった。パワートレーンや商用車向けの事業がけん引した。18年の売上高は17年と同規模の約365億ユーロ(4兆7000億円)を計画する。好調な事業を追い風に、技術開発を急ぐ。

インタビュー/ZF取締役 ピーター・レイク氏「資本伴わぬ提携重視」


 アジア・太平洋地域を担当するZFのピーター・レイク取締役に事業戦略を聞いた。

 ―高水準の研究開発投資を続けます。
 「車業界はかつてない変化の波にさらされている。大規模な投資を続け、進行中の先進技術の開発を具現化する体力がないと業界での勝ち残りは難しい」

 ―TRWの買収効果は。
 「車載カメラを使った運転支援などZFが持たなかった技術や製品を補えたことで、新ビジネスの獲得につながった。調達や営業面でも多くのシナジーが生まれている」

 ―今後のM&A(合併・買収)戦略は。
 「自動運転や電動化、コネクテッドなどのメガトレンドに対応できるシステムサプライヤーとして、M&Aは顧客が描くどんなシナリオにも対応する体制の構築に必要な戦略の一つと考える。ただ今後は自動運転技術の開発で協力するエヌビディアとの関係のように、資本を伴わない提携戦略も重視する」

 ―日系メーカーとの取引状況は。
 「日産などの乗用車メーカーに加え、自動運転技術の開発を強化する商用車メーカーとの取引が増えている。日本の研究開発拠点に在籍する技術者の採用を増やすほか、人材育成に重点投資し日系メーカー向けの事業体制を強化する」
ZF取締役 ピーター・レイク氏

(聞き手・下氏香菜子)

日刊工業新聞2018年6月20日

COMMENT

中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ
代表

衝撃的なZFとTRWの合併で生まれた新生ZF。シナジー効果から急速に商品と顧客ミックスを拡大させている。しかし、ライバルのボッシュ、コンチネンタル、デンソーの急激な拡大戦略の引き金ともなった。自動運転、AI、コネクティッドではZFはまだ出遅れ感が漂う。R&Dは確かに水準は高いが、デンソー、ボッシュの半分程度に留まる。電子やソフト領域での挽回要素はまだまだ大きいだろう。次なるM&Aへの動きもありえるだろう。

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