マツダ・ロードスター30周年、“人馬一体”次代につなぐ

 平成の時代を駆け抜けたマツダの小型オープンスポーツカー「ロードスター」が2月に誕生30周年を迎える。走る喜びを実現するスポーツカーとして人気を集め、エンジンの開発などでもさまざまな改良を施してきたが、自動車業界は電動化などの大きな変化も待ち受ける。それでも、時代を超えてロードスターとしての変わらない魅力を作り続けることが重要と捉えている。(山岸渉)

特別仕様を公開


 「誰もが幸せになる。車を作る側も幸せになる」。中山雅商品本部主査兼デザイン本部チーフデザイナーはロードスターの魅力についてこう強調する。2月に米国で開催する「シカゴオートショー」で、ロードスターの海外名である「MX―5」の30周年を記念した特別仕様車を世界初公開することも決めた。

 ロードスターの特徴は、軽量でコンパクトなオープンボディー、前後バランスの取れた重量などのスタイル。また、2015年に発売した4代目は、排気量1500ccのエンジンなど基幹部品を軽量化し、1トンを切る重量によって走りの質も高めている。

楽しめる車


 18年7月には、進化したガソリンエンジンを搭載するなど一部改良したロードスターとロードスターRFを発売した。同2000ccのエンジンでは加速感の向上などを図った。燃料の粒を小さくして霧吹きの長さを短くする工夫などで燃焼改善につなげたほか、高回転化に向けてこれまでのノウハウも生かし軽量で強度も高いピストンを作り込んだ。

 低中速域の音圧を高めて伸び感のあるエンジン音にもこだわるなど「運転がうまい人でも初心者でも、いつでもどこでも楽しめる」(パワートレイン開発本部パワートレイン企画部の藤冨哲男エキスパート)と胸を張る。

 こうした魅力の背景には、初代のロードスターから大切にしてきた「人馬一体」と言う考えがある。騎手が疾走する馬に乗りながら的に向けて矢を射る伝統武芸「流鏑馬(やぶさめ)」を由来とし、騎手と馬の関係のように人が思い通りに正しい運転をできるよう車両側で運転環境を整えるという発想だ。これはマツダが手がける車種の基本姿勢にも受け継がれている。

生きる喜び提供


 一方で、自動車業界は環境変化がめまぐるしい。電気自動車(EV)などの電動化もその一つ。ただ、同社では「内燃機関を改良すればするだけサポートする電動化技術は少なくなる」とロードスターの魅力は今後も発信できるとみる。むしろ課題は、安全性などでさまざまな機能がさらに求められる中で、車体の軽量化を図り、ライトウエイトスポーツカーとしてのロードスターをいかに実現するかだという。

 中山主査は「単なる車を超えて生きる喜びを提供してきた」とロードスターの意義も語る。さまざまな変化にも人馬一体の発想を携え、次代にもつないでいく。

日刊工業新聞2019年1月10日

  

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