治療薬の開発に道、難治性膵臓がんの機構が明らかに

東京医科歯科大が特有の遺伝子発現の変化を発見

 東京医科歯科大学大学院の田中真二教授と島田周助教らは、治癒が難しいタイプの膵臓(すいぞう)がんに特有の遺伝子発現の変化を発見し、悪性化する分子メカニズムを明らかにした。デオキシリボ核酸(DNA)と結合するたんぱく質「ヒストン」のアセチル化を制御する遺伝子「KDM6A」が不活性化し、がん抑制遺伝子が発現しにくくなっていた。治療薬の開発に応用が期待される。

 研究チームが膵臓がん患者の遺伝子を調べると、KDM6Aが発現しない患者が予後不良になることが分かった。KDM6Aの機能を調べると、ヒストンのアセチル化を制御するアセチル化酵素と複合体を形成していた。ヒストンがアセチル化されるとその下流の遺伝子発現が促進される。KDM6Aが発現するがん組織では複合体がHDACの働きを阻害し、アセチル化が進むことでがん抑制遺伝子が発現していた。

 KDM6Aを欠失した膵がん細胞では細胞の増殖能や悪性度が高くなったが、脱アセチル化を阻害するとヒストンのアセチル化が進み、がん抑制遺伝子の発現が回復した。成果は、国際科学誌インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー電子版で発表された。

東京医科歯科大学発表資料から

日刊工業新聞2019年1月4日

  

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