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世界販売の3分の2を電動車に、ホンダの計画に対応急ぐ部品メーカー

軽量化などのニーズに対応
世界販売の3分の2を電動車に、ホンダの計画に対応急ぐ部品メーカー

ケーヒンが電動車対応で注力するPCU。開発も推進する

 ホンダ系部品メーカーによる電動車の部品対応が本格化している。ユタカ技研がモーター部品、ケーヒンがパワーコントロールユニット(PCU)といった基幹部品に力を入れるほか、ジーテクトやエフテックなども電動車向け車体部品の開発を推進する。ホンダが2030年に世界販売の3分の2を電動車にする計画を掲げるなど、完成車メーカーの電動化の動きは活発化している。軽量化などさまざまなニーズへの対応を急ぐ。(山岸渉)

 電動車が広がれば、まず駆動に欠かせないモーターなどの基幹部品の需要が大きくなる。ユタカ技研は18年11月に発売したホンダのスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」のハイブリッド車(HV)にモーター部品などが採用された。この実績を弾みに、黒川勝弘社長は「19年以降のモデルでも一部受注をもらう方向」と増産の準備を進めている。19年度に国内の本社工場で生産を開始し、それ以降に海外展開も視野に入れる。

 モーター関連とともに需要が高まる部品としてPCUがある。電気自動車(EV)などの電池から供給される電力をモーター駆動用に制御する電動化で重要性が増す部品だ。「ホンダでのシェアはさらに広がると考えている」。ケーヒンの横田千年社長はこう力を込める。

 ケーヒンは国内主力工場でPCUを増産するほか、中国では20―22年度に生産を始める計画。米国での生産も視野に入れる。出力密度の向上など性能を高めたPCUの開発も推進する構えだ。

 電動化の進展では駆動系だけでなく、車載電池の重量が増すことから、車体を軽くしたいというニーズが一層高まる。車体部品での軽量高剛性がより求められるようになる中で、ジーテクトはEV対応の車体構造解析に注力する。米テスラのEV「モデルX」などの仮想データを用いた衝突実験から独自の安全性能評価を実施するなど、「当社の車体設計ノウハウが必要な領域が十分に存在する」(高尾直宏ジーテクト社長)と力を込める。高品質な車体部品の提案につなげる考えだ。

 車体部品の開発で自発的な動きも出てきた。足回り部品が得意なエフテックと、骨格部品などを手がけるエイチワンは「共創」(福田祐一エフテック社長)という連携に乗り出した。EV部品に関して設計や解析に関わるデータを共有し、ノウハウを持ち寄って開発の効率化を狙う。

 八千代工業も軽量化に貢献する樹脂部品の成形や塗装を積極提案する姿勢をみせる。電動化を含めた変化を好機とも捉えた動きが今後も加速しそうだ。
日刊工業新聞2019年1月4日

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