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福井が“県民衛星”を打ち上げる理由

情報サービス事業、衛星製作の産業化狙う
福井が“県民衛星”を打ち上げる理由

福井県は振動試験装置などを導入し人工衛星の製作・評価の体制を整えた(福井県工業技術センター)

 福井県の産官学などで構成する福井県民衛星技術研究組合(事務局・福井県、進藤哲次理事長=ネスティ社長、0776・20・0537)は、2020年度上半期を超小型人工衛星「県民衛星」の打ち上げ時期に設定し、作業を加速する。打ち上げ後は行政の防災システムとして活用する計画で、19年度中に衛星を製作する。情報サービス事業、衛星製作の産業化を狙う。

 同組合は衛星画像データの利活用案を複数検討してきたが、県の防災システムで使う案に絞った。すでに地上分解能2・5メートルの衛星画像を編集する情報システムを開発。防災用に機能させるために地上と飛行ロボット(ドローン)などの空撮画像と組み合わせる仕組みのほか、実際に行政組織で運用する上での仕様を18年度内に詰め、開発に入る。

 同組合の進藤理事長は「自前の衛星からデータを安く、必要なタイミングで収集するのがカギ。構築した仕組みは他自治体にも提案できる」と期待する。

 県民衛星の機体は、同組合メンバーで宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)が27日にロシアの民間ロケットで打ち上げる超小型衛星「グルース」(60センチ×60センチ×80センチメートル)をモデルとする計画。打ち上げは当初、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケットを想定したが、打ち上げ時期が流動的で、有償の民間ロケットを利用しビジネス展開の歩を進める。

 県民衛星は製作費として県の拠出金と、参加企業により4億円を集めた。
日刊工業新聞2018年12月27日

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