自動運転など支える、準天頂衛星「みちびき」のスゴイ測位精度

11月1日にサービス開始

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日本上空で周回する純天頂衛星「みちびき」のイメージ
 高精度に人やモノの位置を把握することで、自動運転や無人飛行ロボット(ドローン)による配達などが実現する未来が見えてきた。内閣府は米国のGPS(全地球測位システム)衛星の日本版である準天頂衛星「みちびき」を利用した測位サービスを1日から始める。地球上を回る4機のみちびきが米GPSなどの測位を補強しセンチメートル級の測位を可能とする。産業や生活はどのように変わるのだろう。

 内閣府は2017年度に3機のみちびきを打ち上げ、初号機を含めた4機体制を構築した。みちびきの最大の特徴はセンチメートル級の測位精度が出せることだ。これは他国の衛星が持つ数メートルの位置精度に比べ大きな優位性を持つ。

 衛星測位を利用したサービス開始に向け、多くの企業がみちびきを利用した実証実験を実施し、ビジネス展開を目指す。内閣府は府省横断の研究開発プログラム「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の中で技術実証を進め、企業のビジネス展開を後押しする。

 高精度測位情報での実現が最も期待されるのは自動運転の分野だ。三菱電機は2月、雪道での自動運転技術を実証。みちびきからの信号を利用し自動車の位置を正確に把握することで、安全性と快適性を両立した自動運転が可能であることを示した。濃霧などの視認性が悪い環境下での自動走行も可能になると期待される。

 さらに高齢化による労働力不足が深刻な農業分野で、みちびきは救世主となるかもしれない。14年、日立造船や日立製作所、ヤンマーは、植えられた作物の列の間隔が40センチメートルの農地をタイヤ幅30センチメートルの農機で走行する実験を実施。正確に走行できることを確認した。その後も農機メーカー各社は実証実験を継続的に行っている。

 さらに福祉分野では視覚障害者の自立歩行を補助するシステムに注目が集まる。測位情報を受信するスマートフォンや眼鏡型映像入力装置、骨伝導スピーカーなどで構成される装置が、利用者専用の地図を作製。骨伝導ヘッドホンでの音声案内や小型カメラでの信号機の色判断システムが利用者を安全に誘導する仕組みだ。

 みちびきは生活を大きく変える可能性を秘めている。衛星測位を利用したサービスが拡大し、宇宙利用の促進が期待される。

 

(文=冨井哲雄)

日刊工業新聞2018年11月1日

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