【30日発効】TPP11は保護主義の対抗軸になるか

巨大経済圏が誕生

内閣官房公式ページより
 米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)が30日に発効する。史上最大級の多国間自由貿易協定(FTA)により、世界の人口の約7%、国内総生産(GDP)の約13%を占める巨大経済圏が誕生する。日本にとっては東南アジアなどへの輸出機会の拡大や、手頃な食料品の輸入増による消費活性化などが期待される。またTPP11は、知的財産や投資などに関する高度なルールも盛り込んだ。台頭する保護主義への対抗軸としてその影響力が試される。

 「年内発効を想定していた国は少ないのでは」―。茂木敏充経済再生担当相がこう指摘するように、TPP11はおおかたの予想以上に速く発効が決まった。6月のメキシコを皮切りに日本、シンガポールなどが相次いで国内手続きを完了。10月31日に6カ国目の豪州が手続きを終え、12月30日発効が確定した。日本から輸出する工業品の99・9%、農林水産物の98・5%が最終的に関税撤廃される。

 年内発効の意義は大きい。日本以外は関税引き下げの基準点を年初とするため、19年1月1日から2年目の税率に入り、品目によっては約1年、自由化が早まることになる。

 製造業ではベトナム、マレーシアでの事業拡大を期待する声が多い。例えばベトナムとの間では既に経済連携協定(EPA)が発効しているが自動車の関税は残っており、TPP11で初めて撤廃される(10年目以降順次)。メーカーは関税撤廃に向け、「じっくりと戦略を立てることができる」(渡邊頼純慶応義塾大学教授)。

 またTPP11は、関税引き下げにとどまらない高度な多国間ルールも特徴だ。知的財産保護、技術移転要求の防止、データの自由な越境移転などを促すルールは公正な商取引を可能にし、国を越えた投資を後押しする。

 多国間で合意した高度なルールを基に貿易自由化を促す仕組みは、自国第一の保護主義とは対極にある。19年は米国と中国の対立激化などで自由貿易への逆風がさらに強まるのは必至。同年1月にも始まる日米物品貿易協定(TAG)交渉で米国から為替条項や自動車の数量規制などを迫られる可能性がある。

 日本はTPP11を通商交渉の上限であると強く訴えるほか、TPPに参加の用意があるタイや英国、台湾などへと陣容を広げることで対米交渉力を強化することが期待される。

日刊工業新聞2018年12月28日

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