日本の人口減少が“理想的な姿”に向かっている理由

立命館大の挑戦、文理融合で「生涯現役」の社会目指す

 持続可能な社会を築く上で、人口減少をあえて「好ましい」と捉え、問題点を解決する研究を立命館大学が進めている。高齢化社会にあって“生涯現役”でいるには、どのような条件が必要か。文理融合で多角的に取り組む挑戦に注目したい。

 この研究は、2008年度から「立命館グローバル・イノベーション研究機構」が進める全学プロジェクト。16年度からの第3期の柱は「少子高齢化に対応する社会モデル形成」。前提として人口問題に対して独自の考えを打ち出している。

 立命館理事補佐の村上正紀氏によると、持続可能性は「生活の高度化」と「総人口」の掛け算で決まる。日本国内の生態系の供給量で賄える人口は大正時代の5200万人。土地の生産性を向上させれば、国が2060年に予想している人口8800万人程度を賄えるという。

「日本の人口減少はその“理想的な姿”に向かっている」と村上氏。「人口減自体が元凶であり、少子化対策を進めるべきだ」とする考えが社会に根強い中、大胆な主張である。

 ただ問題は、人口が同じ8800万人だった1955年は平均年齢が27歳、65歳以上の高齢者割合が5%なのに対し、2060年はそれぞれ54歳、40%に高まる点だ。1人当たりの国内総生産(GDP)の低下を抑えるには、高齢者が支援される側ではなく、支援する側に回ることが必要である。

 このため、研究テーマには「高齢者の労働意欲向上」「スポーツによる健康寿命延伸」「非侵蝕医療法による医療費の削減」「労働力を補完するロボット開発」などが並ぶ。

 例えば、自動運転車の人工知能(AI)やサービスロボでは、言語や標識などを扱う記号論を導入。人とのよりよいコミュニケーションを目指す一方、実用化された時の人の幸福感の評価にも取り組む。

 いずれも文理融合が必要な研究であり、高齢化社会の先頭を走る日本が手がけるべき領域である。世界に発信できる“日本型モデル”の構築に向けて、成果を期待したい。

日刊工業新聞2017年10月19日

明 豊

明 豊
10月24日
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2060年問題。42年後の考えて政策を訴えたり投票している有権者はほとんどいないだろう。研究の研究で終わらせないためにどうするか。うちの父親はまもなく75歳だがばりばり働いているけど、個人的には80歳過ぎがみんな元気に働いている社会もどうかと…。

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