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“マンションの大京”が中型オフィス参入のワケ

19年度上期に用地取得へ
“マンションの大京”が中型オフィス参入のワケ

中型オフィス開発をホテル開発に次ぐ新規事業の柱に育てる(20年に開業を予定する札幌市のホテル)

 大京は2019年4―9月期をめどに、東京都心で中型オフィスビル向けの用地取得に乗り出す。6月に立ち上げたソリューション事業部で手がけ、早期に年3、4棟を安定供給する体制を構築。先行するホテル開発に次ぐ新規事業の柱と位置付ける。まずは賃貸マンション開発を加えた新規事業の3部門合計で、400億円規模の売り上げを目指す。

 大京は都心で相次ぎ開業する大型オフィスビルに比べ、完成までの工期が短く競合が少ない中型オフィスビル市場を開拓する。主力の分譲マンションで蓄積した知見やノウハウを活用し、使い勝手や高級感の演出、セキュリティーなどを追求。“マンション専業”という従来の企業イメージを覆す「インパクトある物件」(大京)に仕上げる戦略だ。

 新規事業のスピードを上げるため、大京本体とグループ各社の担当部署を集約。6月にソリューション事業部を発足した。現在はホテル4件と賃貸マンション7件を開発中で、売上高は計約300億円を見込む。ここに中型オフィス開発やCRE(企業不動産)戦略支援を追加、新規事業のタネを拡充する。稼働状況を見極め、人材の増強も検討する。

 都心の小型オフィスビルは、従来は雑居ビルしか選択肢がなかった成長期のスタートアップ企業や中小企業を中心に需要が拡大。特に大型ビルと同等の機能を備えたオフィスは企業のブランド向上に役立つほか、社員の生産性や採用活動での好感度を高める効果が期待できる。不動産大手では野村不動産が「PMO」ブランドで積極展開している。
日刊工業新聞2018年12月14日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
大京が新規事業に果敢に挑戦しているようです。2016年には首都圏の中古マンションの成約件数が約3万7000戸となり、初めて新築マンションの供給戸数(約3万6000戸)を上回って話題になりました。将来の新築マンション市場の縮小予測も背景にあるのでしょうか。

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