町工場の技術を記者が体験!

大田区・墨田区で“オープンファクトリー”開催

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東京高圧工業で鋳造体験。溶けた錫を型に流し込む
 東京都内の製造業事業社数で上位を占め、町工場の集積地である大田区と墨田区。両区は毎年、普段は非公開の工場内を一般公開する「オープンファクトリー」を開いている。ともに20社以上の町工場が参加し、技術紹介や地域交流、人材不足対策などを図る。大田区の「おおたオープンファクトリー」は8回目、墨田区の「スミファ」は7回目を迎えた。各イベントで記者がモノづくりを体験した。

金属の重みが…


 アルミニウム合金などのダイカストを手がける東京高圧工業(東京都大田区)では、スズを型に流し込む鋳造を体験した。好きな型を選び、ペーパーウエート(文鎮)作りに挑戦した。

 まず小型のひしゃくで溶かした液体状のスズをすくう。鍋で加熱したスズには灰汁のような皮膜が浮いており、その部分を避けてすくうのがきれいに仕上げるポイントだという。少量だが金属のため重みを感じ、コントロールして型に流し込むのが難しかった。

 型に注いだ後は周辺から真ん中にかけて30秒ほどで固まった。型から外してもらうと、裏は皮膜のためか少し表面がいびつになってしまったが、表はきれいな光沢が出た。

 完璧な出来ではなかったが、敷居の高い鋳造工程を、簡単な形でも体験できたのでよい機会となった。

細心の一発打ち


 東日本金属(同墨田区)は非鉄金属を鋳造・加工する。ワークショップでは鋳物への彫金の模様付け体験をした。まず2種類の文鎮から好きな形を選び、そこにアルファベットや数字など模様が彫り込まれた鏨(たがね)を金槌で打ち込んでいく。

 自分の名前をローマ字で打ち始めたものの、手応えが感じられず鏨を2、3回連打。すると文字が二重になり、うまくいかなかった。そこで思い切って1回に集中して打つことで、きれいに文字を打つことができた。手に着いた金属の匂いで、職人の気持ちに少し近づけた気がした。

就職支援企画も


 今回は両区とも製造業の人材不足の課題を踏まえ、就職活動や雇用支援の企画を初めて実施した。大田区は普段は聞くことのできない「町工場で働く魅力」について、プレゼンテーションや展示を通して生の声を若者に伝えた。墨田区は区の経営支援課や、企業の仕事体験を企画する仕事旅行社(同港区)と連携し、キャリア相談会や職業体験を開いた。

 19年のスミファ実行委員長を務めるマルサ斉藤ゴム(同墨田区)の斉藤靖之社長は、「東京五輪・パラリンピックも控えるため、外国人向けのイベントもしてみたい」とさらなる盛り上がりに向け企画を練る。
(文=南東京・増田晴香、大串菜月)
東日本金属で彫金の模様付けを体験

日刊工業新聞2018年12月11日

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