「デジカメ」シェアリングも、やっぱり売れてこその切実

年末商戦、頼りはミラーレス。メーカー各社に広がる危機感

 年末商戦が近づき、デジタルカメラ各社の売り込みが熱を帯びてきた。各社とも需要が伸びているミラーレスカメラの新製品を相次ぎ投入し、シェア拡大を虎視眈々(たんたん)と狙う。デジカメ全体の市場規模は縮小する中、ミラーレスは唯一の成長分野。大きな商機である年末に向け、販売合戦がますます激しくなりそうだ。

 週末の都内の家電量販店―。カメラの販売コーナーをのぞくと年末商戦に向け、デジカメの最新製品をアピールする広告媒体が目立つ。

 各社のブースには新製品が並び、最新モデルを体験しようと多くの消費者でにぎわう。新製品の目玉は高級ミラーレスカメラ。従来、価格が数十万円する高級モデルはソニーの独占状態だった。ただ、2018年は競合製品が次々と発表されたことで、様相が異なる。

 キヤノンとニコンはイメージセンサーがフルサイズとなる高級ミラーレスを今秋に発売した。両社ともカメラとレンズの接合部であるマウントを刷新し、勝負に出てきた。キヤノンは新製品「EOS R」の販売状況について「発売時を上回るシェアが続いており、好調」という。

 ニコンも新製品「Z 7」について「欧州、アジアでバックオーダーがあり、お客さまにお待ちいただいている」と海外でも販売が伸びている。

 各社がミラーレスに力を入れる背景には、市場の堅調さがある。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、足元の18年ではミラーレスの国内出荷台数(1―9月累計)は約42万台と、一眼レフの約36万台を超えるなど勢いが目立つ。ただ、デジカメ全体でみれば市場規模は縮小傾向が続く。出荷台数はピークだった10年の1億2146万台から約5分の1に縮小している。

 最近では販売台数の伸び悩みを背景に、カメラのシェアリングを展開する企業も出てきた。クレアーク(東京都港区)はスマートフォンを通じ、デジカメを含む撮影機材を個人間で貸し借りする事業を始めた。三井住友海上火災保険とも連携し、サービスの利用料に保険料を一部含めることで機材の損害時にも備えるという。

 こうしたカメラのシェア事業は産声を上げたばかり。だが、所有からシェアへの流れが見え始めた中、販売台数を安定的に伸ばすにはカメラの魅力をユーザーに発信する取り組みが欠かせない。

 年末商戦に向けて各社は販促の強化だけではなく、「販売会社を通じたカメラの体験講座などにも力を入れる」(ニコン)といった声が目立つ。新型ミラーレスの年末商戦の行方は、今後のカメラ市場を占う試金石にもなりそうだ。
(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2018年12月4日

  

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