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ピンポイントに自動で初期消火、“火の用心”もロボにお任せ

シー・エフ・ピーがシステム発売へ
ピンポイントに自動で初期消火、“火の用心”もロボにお任せ

ピンポイントで消火剤を噴射する

 「火の用心」に強い味方―。シー・エフ・ピー(福岡市中央区、花田博道社長、092・707・2907)は自動消火システムの開発ベンチャー。第1弾製品の初期消火システム「ケスロボ」を2019年1月に発売する予定だ。当面はBツーB(企業間)市場を中心に開拓し、その後に一般住宅への普及も目指す。

通信機能も


 「ケスロボ」は消火器を搭載した小型ロボット。赤外線カメラと紫外線センサーで火種となる炎の波長を検知してピンポイントで火元に消火剤を噴射する。検知から消火まで自動。24時間365日、目を光らせる。

 炎の危険性は一定時間の閾値(しきいち)で判断する。例えば、検知した炎が一定時間を過ぎて2倍に勢いが強まり、設定した閾値を超えれば消火する。パーティーでともされ、同じ炎の大きさで燃え続けるろうそくなどには誤射しない仕組み。閾値設定は自由に変更できる。火を使わない部屋などは低い値の設定が可能だ。

 ケスロボは通信機能を持ち、作動を報告できる。事前に設定した5人程に消火剤を噴射する前と後の写真を添えてショートメッセージサービス(SMS)や電子メールで通知する。花田社長は「近年の住宅は密閉性が高いので本人や近隣住人が火災に気付かないことも多い」と指摘する。

地域の防火策


 火災で亡くなるのは65歳以上の高齢者が多い。特に冬は暖房機器の使用が増え火災が多く発生する。在宅介護や老老介護が増える中で、逃げ遅れるケースなどが今後も考えられる。通知先を近所の住人に設定して消防への連絡を依頼することも想定している。ケスロボに地域の防火策を担う役割も期待する。

 現在、消火設備として多く普及しているのはスプリンクラー設備だ。スプリンクラーは煙や温度センサーで火災を検知する。一般に天井温度が一定以上の高温になってから放水する。これに対してケスロボは火災発生から3分以内に噴射するため、より初期消火に重点を置いた能力と言える。

 19年1月の発売時は消費税抜き35万円を想定する。月額7000円程度でリースやレンタル契約も検討中。年間の目標販売台数は約700台としている。

異業種と連携


 当初は無人化の進む工場やビルの入居店舗などへの設置を提案していく考え。民泊施設の採用も見込む。普及のため不動産業者など異業種との連携も視野に入れる。

 基本仕様は消火器を内蔵する形式だが、カスタマイズで特殊な消火用ガスボンベや水道管と連結する設計もできる。精密機器など機械が多い工場などでは消火剤の多様化で顧客ニーズに応えていく。

 ケスロボは火種が小規模な段階の消火を想定している。ほとんどの人にとって火災は非日常の緊急事態。パニックになって消火器があっても適切に使用できない可能性もある。花田社長は初期消火が「人の手より自動化が条件になっていく」とし、システムへの自信をみせる。
(文=西部支社・増重直)
日刊工業新聞2018年12月3日

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