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東日本震災から生まれた“軽水力発電機”が途上国で活躍している

環境保護の啓発活動にも役立っている
東日本震災から生まれた“軽水力発電機”が途上国で活躍している

ネパールで実際に導入されたCappaを見学する地元の子どもたち

 茨城製作所(茨城県日立市、菊池伯夫社長、0294・21・5135)は、軽水力発電機「Cappa(カッパ)」を開発すると同時に、国内や途上国の子ども向けに環境保護、再生可能エネルギーの啓もう活動を行う。その動機や取り組み内容について菊池社長に聞いた。

―2011年の東日本大震災がCappa開発のきっかけとなったそうですね。

「自社も被災し、停電や断水を経験した。商用電力が止まってしまった時、地域の川の流れのエネルギーを電気に変えて照明やスマホの充電だけでもできれば、どれだけの人の不安が取り除けるだろう、と思った。再生可能エネルギーの大切さを見直すとともに、軽水力発電機の開発を始めた」

―Cappaはどのような発電機ですか。

「身近な川や水路の水流に沈めるだけで発電ができる。大人2人の力で持ち運べるほど軽量で、自然環境を壊さない、という2点が大きな特徴。13年度のグッドデザイン・ものづくりデザイン賞を受賞した」

―再生可能エネルギーの啓もうにも注力しています。

「地元・常陸大宮市の防災訓練で発電のデモを行ったほか、福島県の小学生対象のエネルギー学習なども行った。また17年から、ネパールの政府機関、国際協力機構(JICA)と同国でCappa導入プロジェクトを開始。電力インフラがぜい弱な地域の小学校や寺院などにCappaを導入している。クラウドファンディングによる導入プロジェクトも始めている」

「電力の重要性やそのつくられ方、自然環境の保護の大切さを伝え続けることが、エネルギー関連製品の開発・製造に長年携わり、震災も経験した当社がやるべき使命と捉えている」

―課題と今後の展望は。

「途上国で事業を継続する上で、ゴミ投棄など環境意識の低いことや高コストといった問題がある。経済と環境、持続可能性とのバランスをとる必要がある」

「今後はCappaをインドなど他のアジア諸国やアフリカ地域へも広め、持続的社会の実現に貢献していきたい」
(聞き手=茨城・高橋沙世子)
日刊工業新聞2018年11月2日

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