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日産“再出発”長期戦に、新会長選出も暫定的

 日産自動車は12月17日に開催予定の取締役会で金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者の後任会長を決める方向で調整していることが27日分かった。日産出身者を軸に新会長を選出する見通し。また同取締役会に先立ち、今月29日を軸に日産、仏ルノー、三菱自動車の3社連合の経営トップによる協議が開かれる予定だ。ただ日産新会長は暫定的な位置づけで、3社協議も資本関係の見直しまで踏み込まないとみられる。日産“再出発”まで長期戦を避けられそうにない。

 現在、日産の取締役は日産出身、仏ルノー出身、社外取締役に分かれる。日産幹部は「(新会長の選任により)日産の自律性を確保する」とし、すでに筆頭株主のルノーには後任会長を指名させない意向を伝えており、日産出身者が新会長になるとみられる。

 日産出身の現取締役は西川広人社長、坂本秀行取締役、志賀俊之取締役の3人。新会長は社外取締役で構成する委員会が現取締役の中から候補を提案する。会長の空席状態を解消し、経営の立て直しを本格化する。

 12月17日に開催予定の取締役会ではこのほか、コーポレートガバナンス(企業統治)体制の見直しに向け、社外取締役や外部の第三者らを交えた専門委員会の設置を正式決定する見通しだ。

 一方、日産、ルノー、三菱自動車の3社連合の経営トップによる協議は、今月29日を軸に開催される見通しとなった。日産の西川社長、ルノーの暫定トップに就いたティエリー・ボロレ最高執行責任者(COO)、三菱自の益子修最高経営責任者(CEO)が参加する。

 3社協議では今後の3社連合の運営方針などについて話し合う。西川社長は26日に横浜市内で開いた社員向けの説明会で「ルノーとの関係は対等ではない」と発言するなど今後、ルノーが日産に約43%、日産がルノーに15%を出資する現在の資本関係を見直したい意向を示している。

 協議でも俎上(そじょう)にのぼるとみられる。だが、この協議で現在の3社連合の継続を確認する程度なのか、より踏み込んだ議論になるのかは見通しにくい状況にある。

 世耕弘成経済産業相は27日の会見で「政府が個社のことに口を出すべきではない」とし、日本政府は関与しない方針を示している。
日刊工業新聞2018年11月28日

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