「絶対的権力」を受け入れてきた日産、ゴーン批判は分かるが…

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 日産自動車は19日夜、カルロス・ゴーン会長が、金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたことを受け、横浜市西区の本社で記者会見を開き、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は「ゴーン氏が率いているという理由で、日産をご支援いただいた取引先など関係者の信頼を裏切ることになった。残念で申し訳ない」と悔しさをにじませた。22日、取締役会を開きゴーン氏と、同氏の側近として不正に深く関与した代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の解任を提案する。

 ゴーン氏をめぐり、実際の報酬額より減額した金額を有価証券報告書に記載、私的な投資資金流用、私的な経費流用の三つの不正が発覚した。西川社長は、ゴーン氏による不正金額や期間など詳細については捜査中であることを理由に説明を避けたが、「重大な不正と認識している」と強調。日産としてゴーン氏を告発することを視野に入れる。

 ゴーン氏は仏ルノーと日産のトップを長く兼務しており、「ゴーン氏一人に権限が集中したことが(不正の)一つの誘因だろう。ガバナンス(企業統治)に関しては猛省する」(西川社長)と語った。独立社外取締役や外部の第三者らを交えた調査委員会を立ち上げ、ガバナンスを見直す方針。

 一方、西川社長は「日産の業務運営、執行体制に大きな影響はないと思っている。従業員が日常業務に集中できるよう配慮していきたい」と話した。

 仏ルノー、三菱自動車との3社連合についても「何ら影響を与える事案ではない」との認識を示した。ただ日産とルノーの企業連合が成果を上げてきたのは、両社のトップを兼務し、ウィン-ウィンの関係を維持してきたゴーン氏の手腕に依るところが大きい。突然のカリスマ逮捕により、3社連合の運営が混乱する懸念はある。

日刊工業新聞2018年11月19日

COMMENT

中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ
代表

「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」の言葉通りの事態だ。ガバナンスが不透明でゴーンに権力が集中し、利益相反の懸念を払しょくできないと、既に10数年批判を受け続けてきた。それを正せなかったのはゴーンの権力が余りにも絶対的であったことは否めないが、受け入れてきた日産自身の問題も否定できない。ゴーン批判は当然だが、日産の組織的な課題も徹底的に見直すべきだ。「独立社外取締役と外部の第三者らを交えた調査委員会を立ち上げ、ガバナンスを見直す方針」と西川社長は話したが、独立した第三者が主導する調査委員会が望ましいのではないか。

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