基地局の保守・管理で事業が急拡大、経験の浅い従業員が倒産の引き金に

リングス、工程管理の甘さから利益を確保できず

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 リングスは、1994年1月に創業した無線基地局設置工事・メンテナンス業者。携帯電話などの小型通信基地局の保守、管理、メンテナンスを主体に手がけ、小規模な案件を受注し、機動力を武器に顧客を獲得していた。特に2013年7月期にはLTE(高速通信サービス)などの次世代電波網の整備が急速に進められた結果、売上高は前期比67%増の約25億円を計上した。

 しかし、この業績の急拡大が後の倒産を引き寄せることとなった。14年以前は渡邊健一社長が、収支管理や工程管理をしていたが、受注件数の増加に伴い、経験の浅い従業員に任せざるを得ない状態となった。その結果、粗利は低下し、営業損失を計上してしまう。その損失を隠蔽(いんぺい)するため、4期にわたり粉飾決算に手を染めた。

 結局、不採算受注の増加から資金繰りが追い付かず、17年3月には金融機関に対してリスケを要請。資産査定が実施され、17年7月期の決算では大幅減収に加え、多額の過年度損益修正損を出し、当期純損失約5億円を計上した。これにより財務面は一気に悪化、債務超過に転落した。

 それでも経営改善計画策定後、粗利率は改善した。役員報酬など大規模なリストラも実施し、再建の道を歩みだしたかに見えた。

 しかし、18年3月に入ると受注が急減。その大きな要因が従業員のモチベーション低下だ。残業時間の抑制は、残業代とともに従業員のやる気までそいでしまった。さらに、受注段階の見積もりでは採算が取れていた案件も工程管理の甘さから利益を確保できずにいた。

 資金繰りが逼迫(ひっぱく)したことで、18年7月にはスポンサーを前提とした事業再建を画策したものの奏功せず、9月28日ついに事業を停止、10月15日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。
(文=帝国データバンク情報部)
(株)リングス
住所:大阪府吹田市豊津町41―13
代表:渡邊健一氏
資本金:3500万円
年売上高:約18億400万円(17年7月期)
負債:約8億3400万円

日刊工業新聞2018年11月20日

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