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法人向け複合機強化へ、人事評価を改正するエプソンの狙い

海外現地法人の幹部対象、グループ貢献度を追加
 セイコーエプソンは2019年度から海外現地法人の幹部を対象に、人事評価の仕組みを一部改める。BツーB(企業間)ビジネスの強化を目指すグループ戦略に対し、年間の貢献度合いを評価項目に加え、給与査定にも反映させる。これにより、現法の幹部らが部分最適ではなく、グループ経営の観点から経営をかじ取りすることを促す狙い。

 セイコーエプソンは、まずは販売会社など海外現地法人のトップ約10人を対象に取り組みを始める。その後、副社長クラスを含む数十人規模の階層へ段階的に広げる計画。既に賞与の査定において、一部グループ戦略への貢献度合いを反映してきたが、19年度からそのウエートを徐々に広げる。

 エプソンは中長期の経営方針として、インクジェットプリンター技術を活用してレーザー方式が主流のオフィス向け複合機市場を開拓する戦略を掲げている。この一環で高速インクジェットラインヘッドを搭載した複合機を展開している。

 ただ、複合機市場はゼロックス(富士ゼロックス)やキヤノン、リコーなど競合がひしめき、後発組のエプソンにとって販路開拓は容易ではない。このため、家庭用プリンターなど「(販路が既に構築された)売りやすい製品を優先的に販売する傾向がどうしても強かった」(川名政幸取締役)という。

 そこで、人事評価項目にグループ戦略への貢献度合いを広げる。川名取締役は「短期的に売り上げが苦戦したとしても法人市場に対する基盤が作れていれば、評価していく」とし、BツーBビジネスの強化を進める。

日刊工業新聞2018年11月1日

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