「みちびき」、ノーベル賞に通じる底知れぬ潜在力

“観測力”がイノベーション生む

 準天頂衛星「みちびき」4号機の打ち上げが成功した。主力ロケット「H2A」は今年に入って5回目の打ち上げ。かつてない高密度のスケジュールのうち、みちびきが3回を占める。

 4機のうち1機は静止軌道、他は40―50度傾けた準天頂軌道を通り、米国の全地球測位システム(GPS)を補強する。日本のほぼ真上を通過するため、ビルが多い都市部などから衛星が見えやすい。

 期待されるのはセンチメートル級の高精度位置決め機能。農業トラクターや自動車の自動走行、離島への飛行ロボット(ドローン)による無人運搬などへの応用が考えられている。2018年の本格稼働に向けて準備が進む。

 “標的”を定め、その時刻と位置を特定することは科学の世界でも特に重視されている。今年のノーベル賞の自然科学3賞は「体内時計」「重力波」「顕微鏡」に決まったが、いずれも精密な観測によって成果を上げた研究という共通点がある。

 ノーベル賞級の研究でも、同時代には何の役に立つか分からないものが少なくない。みちびきも、いずれ想像もしていなかった使い道が出てくるかもしれない。過去と現在の優れたシステムを結集し、イノベーションが生まれることを期待する。

日刊工業新聞2017年10月11日

明 豊

明 豊
10月12日
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2―4号機の開発や運用、打ち上げなどの費用は2000億円強。政府は宇宙産業利用の拡大を目指した「宇宙産業ビジョン2030」では、ビッグデータや人工知能(AI)、IoTなどを組み合わせ、ロケットや衛星の小型化など低コスト化も進めて宇宙利用の裾野を拡大させ30年代早期にも日本の宇宙産業市場を2兆4000億円程度と現在の規模から倍増させることを目指すという。

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