ニュースイッチ

評価サイトの運営会社、“葬儀サービス”にシフトした理由

よりそう、20年度売上高は17年度比5倍へ
評価サイトの運営会社、“葬儀サービス”にシフトした理由

定額で全国のお坊さんを手配する「お坊さん便」

 よりそうは定額葬儀サービス「よりそうのお葬式」やお坊さん手配サービス「お坊さん便」など葬儀関連のサービスを手がける。不明瞭な料金体系など従来の慣習を改革し、ワンストップ(窓口一元化)のサービスを提供する。高齢化により葬儀業界の市場規模が拡大する中、多様化するニーズに合わせた事業を展開する。

 子どものころから貧困問題など世界の富の不平等さに不安を感じ、社会貢献を目指していた芦沢雅治社長。NPO法人を立ち上げた経験もあり選択肢はいくつかあったが「収益がなければ何もできない」(芦沢社長)と実感したことで起業を志した。

 米国の大学在学中、得意だったウェブの知識を活用し、英語のホームページを立ち上げるホームページビルダーやオンライン英会話サービスなどインターネットビジネスを開始。ビジネスの面白さを学んだ。

 帰国後もネットビジネスを継続。2009年に地域密着型のレビューサイトを運営するみんれびを設立した。コンテンツの数で差別化を図るため、歯医者や老人ホームなどさまざまなジャンルの情報サイトを展開した。

 中でも最もアクセス数が伸びたのが葬儀社を紹介する「葬儀レビ」。葬儀はいつ起こるか予測できず機会も少ないため、何をすべきか分からずに困る人が多い。「利用者に感謝されてやりがいがあり、ビジネスとしてもうまくいくと思った」(同)。葬儀社の現状やレビューの声をふまえて葬儀サービスを主力に切り替えた。

 全国の僧侶と提携し法事や法要に定額のお布施で手配する「お坊さん便」や葬儀に必要なものをパッケージ化した定額の「シンプルなお葬式(現よりそうのお葬式)」など独自のサービスを開始した。価格やサービス内容の不安を解消し、幅広いプランで理想の葬儀や供養を実現する。

 3月には葬儀、供養、墓地探しなど計23のサービスをワンストップで展開するブランド「よりそう」を立ち上げ、割引が適用されるメンバー制も開始。エンディングの一連の流れを統合して利便性を高めた。それに合わせ「顧客情報をデータベース化して管理し、有効活用することが今後の課題」(同)だ。

 6月にはブランド名に合わせて社名を変更した。「理想の旅立ち」を実現する選択肢を拡大することで、20年度の売上高は17年度比の約5倍を見込む。
(日刊工業新聞社・増田晴香)
芦沢雅治社長

【企業プロフィル】
▽所在地=東京都品川区西五反田2の11の17▽売上高=非公開▽設立=09年(平21)3月
日刊工業新聞2018年10月29日

編集部のおすすめ