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インド市場モデル検討、カワサキバイクの快走支える生産戦略

インドで年産1万6000台へ
インド市場モデル検討、カワサキバイクの快走支える生産戦略

インド工場での部品の品質向上を図り明石工場での活用も想定する(明石工場)

 川崎重工業は、インドでの2輪車生産や現地向け製品の開発体制を整備している。2017年9月に稼働したインド工場で調達する部品の品質向上にも取り組み、その部品は明石工場(兵庫県明石市)などで活用を図る。製品面でもインドの2輪車市場拡大を見据えており、インド市場向けの2輪車投入も検討する。成長市場としての開拓や、安価に部品を製造・調達できる利点を生かしてグローバルでの展開を進める。

 「100億円を超える営業利益を、2013年度から5年間あげ続けてきている。その利益で次の開発投資や生産投資について、次はどうするかとなるとインドだろう」。太田和男モーターサイクル&エンジンカンパニープレジデントはこう語る。モーターサイクル&エンジンカンパニーの18年3月期売上高は3316億円、営業利益は152億円だった。近年、安定した営業利益を出している。

 川重は10年にインドの大手2輪車メーカーであるバジャジ・オートに生産委託し、13年から同社工場内の敷地を借りて自社生産を進めていたが、インドでのさらなる需要増を見込み、現地法人「インディア カワサキモータース」に新工場(マハラシュトラ州プネ市)を新設した。大型2輪車「ニンジャ1000」も生産するなど、年産能力を約5000台から約1万6000台へと拡大した。

 新工場の稼働とともに、調達部品の品質向上にも着手した。「インドの拠点を生かして、グローバルな開発や生産での工夫につなげていく」と太田プレジデントは力を込める。川重はこれまでインド製の部品を調達し、日本やタイの拠点で品質検査してサプライヤーに助言したり、各国の生産ラインに送ったりしていた。だが、時間やコストがかかり非効率なことなどが課題だった。

 インドに開発拠点を新たに設け、まず日本から技術者4人を派遣した。現地で調達した部品を査定し、その結果をサプライヤーなどと共有するといったことに取り組んでいる。品質面でのめどがつき次第、2輪車生産でマザー工場と位置付ける明石工場などへの部品供給も進める考えだ。低コストで部品がつくれるインドで一定の品質を持つことができれば、原価低減にもつながるとみている。

 今後、インドの需要に対応した2輪車製品の開発も視野に入れている。例えば、排気量250ccクラスのスポーツバイクの日本での通常価格帯は60万―70万円程度だが、部品調達やインドで必要な仕様などを工夫することで、インド向けとしてさらに価格を抑えたモデルの投入を想定する。投入時期は25年までを一つのめどとして、太田プレジデントは「インドで最適な品質の製品を探っていきたい」と語る。

 川重はインドの2輪車市場について、16年の1800万台から25年には4900万台に拡大すると予測している。それに合わせて、インド向け2輪車商品の開発を進めていく考えだ。

(文=山岸渉)

「インド市場向けモデルの投入も検討する」と語る太田プレジデント
日刊工業新聞 2018年10月24日

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