ウルトラマンにスターウォーズも、“キャラクターこけし”はなぜ人気?

群馬県の「近代こけし」づくり、復活の背景に迫る

 映画やアニメに登場する人気キャラクターの表情や姿をモチーフにした「キャラクターこけし」が国内外で人気を集めている。伝統工芸品であるこけしを若年層にも受け入れられる商品として世に送り出したのが、卯三郎こけし(群馬県榛東村、岡本有司社長、0279・54・6766)だ。

 キャラクターこけしは、型にとらわれない自由な発想で表現する「近代こけし」の流れをくむ。近代こけしづくりが群馬県で始まったのは約70年前とされる。その礎を築いたのが岡本社長の父であり、同社を創業した岡本卯三郎氏だった。

 岡本社長が「父は金属加工の元エンジニアで、アイデアマンだった」と振り返るように、卯三郎氏は伝統的な技法や作風にしばられることなく独創性を発揮した。筆を使った絵付けや彫刻と焼き絵を融合させて立体的に表現するなど、次々に新風を吹き込んでいった。加工の品質を維持しつつ生産性を高めるため、機械化も積極的に進めた。

 その後、隆盛を迎えた群馬県のこけし産業は、バブル経済の崩壊によって販売がいったん下火になった。大きな転機が訪れたのは約8年前。生活雑貨の国際見本市に出展した際、「ミッフィーのライセンスを持つ業者から『こけしをつくってほしい』と要請された」(岡本義弘副社長)。キャラクターこけしという新たなジャンルが切り開かれた瞬間だった。

 同社はこれを機に、ウルトラマンやドラえもん、スターウォーズなどをモチーフにした定番商品を次々に創作。年配者が旅先で購入する土産物のイメージを一新し、デザイン性に優れる雑貨として脚光を浴びるようになった。

 販路拡大で果たした役割も大きい。従来の問屋経由に加えて、雑貨店などとの取引が増加。国内にとどまらず海外で高く評価され、ネット販売も年々伸びている。

 岡本社長は「常に新しいアイデアを取り入れることが大切だ」と、創意工夫の意識を持ち続けることの重要性を強調する。先代から受け継いだ“技術と革新のDNA”は、今後も商品開発や市場開拓で大きな可能性をもたらしそうだ。

【メモ】ろくろでひいて作製するこけしは、江戸時代後期ごろから東北地方の温泉地で土産物として売られ始めた。球形の頭部と円筒形の胴からなるシンプルな形状の「伝統こけし」に対し、「近代こけし」は形や色がさまざまで、「創作こけし」とも呼ばれる。全国の近代こけしの生産量で群馬県は約7割を占めている。


白い木地に一つひとつ丁寧に絵付けする

日刊工業新聞2018年10月19日

  

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