【WRS開幕直前】厳しい表情の各チーム、“サプライズタスク”が難しすぎた!?
国際ロボット競技会、17日から
ワールド・ロボット・サミット(WRS)の17日開幕を前に、会場では各チームがロボットのセットアップを進めている。15日は、ものづくり部門のサプライズタスクが前倒しで公表された。その難度の高さに各チームには厳しい表情が浮かんだ。サービス部門ではロボットが扱う日用品の種類が明らかにされた。早速、人工知能(AI)技術に学習させるべくデータ作りが始まった。AIの出来、不出来はすべてタスクの成功率を左右する。
「サプライズタスクが難しすぎたかもしれない。そこで5日前倒しして、各チームに時間を与えて戦略を練ってもらう」。横小路泰義ものづくり競技委員長(神戸大学教授)は前倒しの公表についてこう説明する。ものづくり部門では機械部品を組み立てて精密なベルト駆動ユニットを作る。サプライズタスクではこのベルトをタイミングベルトや金属チェーンに代えた。
ベルトの取り扱いはものづくり競技の最難関だ。ベルトは軟らかく一定の形を取らない。ベルトを他の部品に引っかけながら、うまく作業する必要があった。サプライズタスクでは、最難関のベルトをさらに難しい金属チェーンなどに代えた。チェーンは変形方向が拘束されているため、持ち上げても真下に垂れない。柔軟なゴムベルトとはまったく違う組み立て戦略が要る。歯車との精密なかみ合わせも求められるため難度が跳ね上がる。大阪大学の原田研介教授は「実際にやってみないと、どれだけ難しいかもわからない」と説明する。
サプライズタスクではタイミングベルトや金属チェーンなど難易度別に5種類をチームが選べる。横小路委員長は「簡単なベルトでタイムボーナスをとりにいくチームと、難しいチェーンでサプライズの点をとりにいくチームで戦略が分かれだろう」と予想する。
サービス部門のパートナーロボットチャレンジでは、部屋にある日用品を片付けたり、探して取ってきたりするタスクが出題された。この日用品が参加チームに配られた。ロボットが日用品を認識するために、AI技術で学習させる必要がある。
九州工業大学は10時に日用品が配られてから19時まで写真データを撮り続けた。回転ステージに日用品を置いて全方向から撮影する。例えばバスのオモチャは上下左右前後、どの面を下に置かれるかわからない。そのため、6面すべての面が下に向いた姿勢でそれぞれ360度、二方向から写真を撮り続ける。4年生の金丸和樹さんは「1日かけて7万枚くらいは撮影した」と苦笑いする。
この後、背景を画像処理で取り除いて学習用データに整えAIに学習させる。データ作成には1日がかりだが、AIの学習は半日もかからない。「データは認識精度を左右するため労を惜しんだらいけない」と説明する。
海外のチームは日用品の周囲を、スマホをグルグル回すように動画撮影し、そのデータを学習させていた。競技場になる部屋で撮影しているため、照明などの差異はない。どちらが優れるか勝負してみないとわからない。
いまはAIの学習データ作りが人間の大変な仕事になっている。スマホで大丈夫であれば、手軽に誰でもデータ作りに参加できるようになるかもしれない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の細谷克己主査は「スマホの先は、ロボット自身がデータを作るようになる」と指摘する。ロボットが日用品を拾って、あらゆる方向から見て画像データを作る。住人に「コレなんですか」と聞いたら学習用データが完成する。人によるデータ作りは、いましか見られない貴重なシーンなのかもしれない。
「サプライズタスクが難しすぎたかもしれない。そこで5日前倒しして、各チームに時間を与えて戦略を練ってもらう」。横小路泰義ものづくり競技委員長(神戸大学教授)は前倒しの公表についてこう説明する。ものづくり部門では機械部品を組み立てて精密なベルト駆動ユニットを作る。サプライズタスクではこのベルトをタイミングベルトや金属チェーンに代えた。
ベルトの取り扱いはものづくり競技の最難関だ。ベルトは軟らかく一定の形を取らない。ベルトを他の部品に引っかけながら、うまく作業する必要があった。サプライズタスクでは、最難関のベルトをさらに難しい金属チェーンなどに代えた。チェーンは変形方向が拘束されているため、持ち上げても真下に垂れない。柔軟なゴムベルトとはまったく違う組み立て戦略が要る。歯車との精密なかみ合わせも求められるため難度が跳ね上がる。大阪大学の原田研介教授は「実際にやってみないと、どれだけ難しいかもわからない」と説明する。
サプライズタスクではタイミングベルトや金属チェーンなど難易度別に5種類をチームが選べる。横小路委員長は「簡単なベルトでタイムボーナスをとりにいくチームと、難しいチェーンでサプライズの点をとりにいくチームで戦略が分かれだろう」と予想する。
サービス部門のパートナーロボットチャレンジでは、部屋にある日用品を片付けたり、探して取ってきたりするタスクが出題された。この日用品が参加チームに配られた。ロボットが日用品を認識するために、AI技術で学習させる必要がある。
九州工業大学は10時に日用品が配られてから19時まで写真データを撮り続けた。回転ステージに日用品を置いて全方向から撮影する。例えばバスのオモチャは上下左右前後、どの面を下に置かれるかわからない。そのため、6面すべての面が下に向いた姿勢でそれぞれ360度、二方向から写真を撮り続ける。4年生の金丸和樹さんは「1日かけて7万枚くらいは撮影した」と苦笑いする。
この後、背景を画像処理で取り除いて学習用データに整えAIに学習させる。データ作成には1日がかりだが、AIの学習は半日もかからない。「データは認識精度を左右するため労を惜しんだらいけない」と説明する。
海外のチームは日用品の周囲を、スマホをグルグル回すように動画撮影し、そのデータを学習させていた。競技場になる部屋で撮影しているため、照明などの差異はない。どちらが優れるか勝負してみないとわからない。
いまはAIの学習データ作りが人間の大変な仕事になっている。スマホで大丈夫であれば、手軽に誰でもデータ作りに参加できるようになるかもしれない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の細谷克己主査は「スマホの先は、ロボット自身がデータを作るようになる」と指摘する。ロボットが日用品を拾って、あらゆる方向から見て画像データを作る。住人に「コレなんですか」と聞いたら学習用データが完成する。人によるデータ作りは、いましか見られない貴重なシーンなのかもしれない。
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