欧州車メーカー、日本でディーゼル車比率上昇のワケ

車種拡充・電動車も

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力強いトルクが売りのディーゼルはSUV愛好者らに訴求力がある(VWの「ティグアン」)
 国内の輸入車(日本メーカーの逆輸入車を除く)販売台数に占めるディーゼル車の比率が上がっている。2017年に初めて20%を超え、18年も上昇傾向が続く。世界的に電動化の流れが加速するが、依然、多くの欧州メーカーがディーゼル車を重要製品の一つに位置付ける。日本のディーゼル車市場は開拓余地があり、欧州メーカー各社が品ぞろえを増やし需要取り込みを進める。一方、各社は電動車も含む全方位のパワートレーン戦略で顧客奪取を狙う。

相次ぐディーゼル車投入


 15年のディーゼル車の排ガス不正問題を経て電動シフトを宣言したフォルクスワーゲン(VW)だが、日本ではディーゼル車の投入が話題だ。2月に中型車「パサート」にディーゼル仕様を追加して発売した。ディーゼル車の日本投入は実に20年ぶりだ。

 さらに8月29日にスポーツ多目的車(SUV)「ティグアン」、10月1日にミニバン「ゴルフ トゥーラン」にディーゼル仕様を追加した。特にティグアンは9月末までの累計受注が1100台を超え「大変好調」と日本法人のフォルクスワーゲングループジャパン(愛知県豊橋市)の担当者は手応えをつかむ。

 VW以外も18年に入りメルセデス・ベンツ日本(東京都品川区)やビー・エム・ダブリュー(同千代田区)、ボルボ・カー・ジャパン(同港区)が発売した。日本自動車輸入組合(JAIA)によると現在、日本で展開する輸入車メーカーのディーゼル車は12ブランド・72モデルに及ぶ。

 17年の輸入車メーカーによるディーゼル車の国内販売は6万6630台(前年比31・4%増)で、全体に占める比率は21・8%(同4・6ポイント増)と伸びた。品ぞろえが充実し、「ディーゼル車を求める顧客ニーズにしっかり応えられるようになった」(JAIA)。

 欧州ではディーゼル車市場は縮小している。以前は販売比率が50%を超えていたが、排ガス不正を契機に市場が縮小し、現在は40%を下回る。大幅な回復は見込めず、欧州メーカーは電動化にかじを切った。

 ただ急激な電動化シフトは困難で、ディーゼルを含む内燃機関がまだ重要な役割を担う。VWの計画では25年時点でもパワートレーンの75%を内燃機関(プラグインハイブリッド車〈PHV〉含む)が占めると見込む。ある証券アナリストは背景に「巨額を投資したディーゼル車を可能な限り延命させたいという欧州メーカーの本音」があると説く。日本市場は乗用車(軽自動車を除く)販売に占めるディーゼル車の販売比率がまだ5%程度と、見方を変えれば成長余地があるため、欧州各社が攻勢をかける。

ランドローバー初のPHV


 一方で、輸入車メーカーは電動車の投入も積極化している。ジャガー・ランドローバー・ジャパン(東京都品川区)は、6月にランドローバー初のPHVをSUV「レンジローバー」に追加して発売したのに続き、9月にはジャガー初の電気自動車(EV)「アイペイス」を発売した。ベンツ日本はEV「EQC」を20年までに国内投入する方針。

日本の登録車販売に占める輸入車の17年のシェアは9%。悲願の2ケタに向け、ガソリン車、ディーゼル車、EVなど幅広くラインアップし「今後も総合的に車を提案する」(ベンツ日本の上野金太郎社長)のが多くの輸入車メーカーの戦略だ。
(文=後藤信之)

 

日刊工業新聞 2018年10月15日

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