コンビニ弁当を持ち帰れば消費税8%、「イートイン」なら10%の混乱

店員が顧客を確認できる?作業負担が増えるも今や集客装置

 コンビニエンス業界にとって「イートイン」と呼ばれる店内飲食コーナーが定着しつつある中、軽減税率をめぐる店内飲食への対応には多くの課題がのしかかる。

 顧客が店内で飲食せず持ち帰る場合は、酒類を除くすべての飲食料品は8%の軽減税率対象になる。しかし、店内で食べる場合は「外食」となり10%が課される。これは店内に食べる場所を設置する小売店も同様で、レジ前で顧客が持ち帰るかどうかを示すか、店員が顧客に確認するしかない。店内が混む昼食時などは、このような作業が双方の負担となり、混乱を生む。

 平日の日中、コーヒーや弁当を買うために都内のコンビニを利用する40代の女性会社員は「10%を払った後に急な仕事が入り、持ち帰りとなれば気持ちは引っかかる。8%しか払っていないけど店内が空いているから食べて行こうとすれば、後ろめたい」と使いにくくなる点を指摘する。

 財務省は店内にテーブルや椅子があっても「飲食禁止」と明示し、客が飲食しないのであれば店内のすべての飲食料品に8%の軽減税率を適用する方針だ。しかし「イートインコーナーはもはやサービスの一環。軽減税率に対処するために、なくすことはあり得ない」(日本フランチャイズチェーン協会)。なくせば顧客離れを起こす店舗も出てくるという。

 ここ数年は、新規出店や既存店改装時にイートインコーナーを設置するコンビニが増えている。同協会はイートインコーナーありきとした上で、レジ支払い時などに問題となり得るさまざまなケースを想定して、現在、財務省と対処方法を詰めている。

 軽減税率の導入によって、現場での混乱は避けられそうにないものの、飲食料品の軽減税率適用には歓迎の声も強い。増税時は買い控えによって消費は一時的に落ち込むが、軽減税率対象品を多く扱うコンビニなどは「商売しやすい」(コンビニ業界関係者)という。

 別の業界も恩恵を受けている。精算時に使うPOSレジを製造する電機メーカーは、軽減税率の導入に関連して特定機種の販売が増えている。

 コンビニの加盟店など中小の小売業者らを対象に、軽減税率に対応するレジ更新に際し、補助金を出す制度も需要を後押しする。この制度を背景に最大手の東芝テックは「補助金対応機種の販売実績が、通常期の1・2―1・3倍(年間ベース)増えている。今後も同等以上の伸びを見込む」という。

 一方、コンビニと似たファストフードを提供する外食産業は持ち帰り以外は10%適用のため、利用者減少を懸念。不公平だと反発の声を上げている。

 消費増税と軽減税率は、増え続ける社会保障費に対応しつつ低所得者に配慮した施策ではあるが、導入までの道のりは平たんではない。
(文・丸山美和)

日刊工業新聞2018年10月12日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。