オカムラ社長「オフィス空間の整備は優秀な人材の確保にもつながる」

中村雅行氏インタビュー

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オカムラ公式サイトより
 人口減少が進む日本において企業を経営する上で大切なことは、“変化を作って需要を創り出す”ことだ。囲い込み戦略の一つである「マス・カスタマイゼーション」がカギを握る。お客様一人ひとりに合う製品やサービスを提供するために、個別仕様の製品をまとめて生産する仕組みを作り上げる必要がある。

「高く売る」努力を


 当社では2016年にマス・カスタマイゼーション戦略を取り入れた。例えばイスでは従来3―5色の展開を基本としていたが、100色までそろえたり、布地を内装に合わせて選べたりする。オーダーメードとまではいかないものの、顧客のこだわりに合わせて差別化できるようになった。

 仕組みを変えることによって、付加価値を付けられる。そうすれば単価も上がり、生産性も向上する。付加価値を上げなければ価格競争に陥ってしまう。もちろん、マス・カスタマイゼーションを継続していくには、一つひとつ異なる商品を大量生産できるように、生産、販売、納期をセットで仕組み化する必要がある。

 日本は諸外国と比べてサービスの質は高いが、物価は安く賃金も低い。企業はもっと付加価値を高めて、単価を上げて高く売る努力をしなければならない。当社が展開する上下昇降デスクは立ち作業を取り入れることで、健康維持や効率面で付加価値を付けた。従来品と比べて2倍の価格だが、販売は好調だ。耐用年数に応じた買い替えではなく、買い替え需要の変化を作り出すことが重要だ。

新発想のオフィス


 例えば日本は、米国と比べてオフィスにおける1人当たりの面積が狭い。1人当たりのスペースを広げて働き方に合わせたオフィス空間を提案することは、買い替え需要のチャンスにもつながるだろう。会議室も日本では多人数用を想定するが、米国では1人用や数人用、多人数向けなどさまざまだ。

 ここ1年で日本では、オフィスの環境整備に対する企業経営者の意識改革が進んでいる。3年前と今を比較すると経営者の意識が変わったのは明白だ。働きやすい環境に変えていこうとしているのを肌で感じる。オフィス空間の整備は優秀な人材の確保にもつながる。

 企業は利益を稼ぐとともに賃金と社会保障に充てる税金の上昇分を含めた付加価値も稼ぐべきだ。社会の公器として企業の存在意義を果たしていくことに経営の視点を置くべきである。
                 

【略歴】なかむら・まさゆき 73年(昭48)早大理工卒、同年岡村製作所(現オカムラ)入社。96年取締役、01年常務取締役、07年専務取締役、12年社長。東京都出身、67歳。

日刊工業新聞2018年10月15日

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