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「富裕層が利用していたサービスを誰でも使えるように」

ウェルスナビ、ロボアドで投信 資産運用の民主化狙う
 「テクノロジーを最大限活用し、これまで富裕層や機関投資家が利用していたサービスを誰でも使えるようにしたい」―。ウェルスナビ(東京都渋谷区)の柴山和久社長は、事業の柱であるロボアドバイザー「ウェルスナビ」の目的をこう表現する。

 柴山社長は東京大学法学部を卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、ノーベル賞を受賞した経済理論に基づくアルゴリズムなどを駆使し、資産規模10兆円の機関投資家の運用をサポートした。

 アルゴリズムそのものは公開されており、自由に使うことができる。そのため「10億円でも500円でも発想は変わらない。“資産運用の民主化”を進め、誰でも使えるように開放できないか」(柴山社長)と考えたことが、サービスの開発のきっかけだ。

 ロボアド「ウェルスナビ」は、独自のアルゴリズムにより、6―7種類の海外上場投資信託(ETF)を通じ、世界約50カ国、1万1000銘柄に分散投資する。長い目で、じっくりとリスクを抑えながら投資する長期、積み立て、分散のスタイルで、リターンの最大化を目指す。

 2016年7月に正式リリースし、今年8月23日時点で預かり資産1000億円、申込件数13万口座を突破した。20年に預かり資産1兆円にするのが目標だが、「(サービスが)インフラになるためのスタート地点と考えたい」と柴山社長は強調する。

 日本では「貯蓄から投資」が叫ばれて久しい。約1800兆円を超える家計の金融資産残高は、およそ半分が預金などで眠っている。銀行や証券会社の多くが富裕層や高齢者をターゲットにしたビジネスを強化しているのに対し、ウェルスナビが狙うのは働く世代だ。

 実際に、サービスの利用者は30代と40代で全体の約6割を占める。男性の利用者が多いが、「女性ユーザーは継続率が高い。将来的には半々になるのが理想」(柴山社長)といい、着実な成長を目指す。(金曜日に掲載)

【基礎データ】▽預かり資産=1000億円(18年8月時点)▽所在地=東京都渋谷区渋谷2の17の5▽従業員=55人▽設立=2015年4月
日刊工業新聞2018年10月5日

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