クルマはもはや走るスマホ、“移動することの再定義”で合従連衡
シェアリングなど自動車を使ったサービスの新潮流「MaaS(マース)」をめぐる合従連衡が激しさを増してきた。3日、ホンダがライドシェア(相乗り)で米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を公表したのに続き、4日はトヨタ自動車がソフトバンクグループと共同出資会社の設立を発表した。MaaSが浸透すれば、サービス事業者に車を供給する下請けになりかねない―。危機感が自動車メーカーの背中を押す。
車両より移動サービスそのものに付加価値がシフトするMaaS。この新潮流に乗るため、自動車メーカーは従来の製造・販売だけでなく、サービスでも稼ぐビジネスモデルへの転換を急ぐ。日系メーカーのほか、独フォルクスワーゲン(VW)がMaaSを展開する子会社MOIA(モイア)を通じライドシェアサービスの提供を今夏に始めた。米フォード・モーターは、21年までにハンドルやアクセルのない配車サービス向け自動運転車を量産する計画を掲げる。
ただスマートフォンを起点にどうサービスを設計するか、自動車メーカーは知見に乏しい。また開発費負担をどう軽減するかも課題だ。競争を勝ち抜くには、「変化を受け入れ、他社とオープンに連携していけるかがカギ」(中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト)だ。
このため、他社との提携戦略は全ての自動車メーカーにとって最重要の経営テーマ。ドライバーの安全確保や品質の高い車を安くつくる生産技術など自動車メーカーの強みと、IT企業のサービス開発やユーザーインターフェース設計に関するノウハウを融合させ、魅力的なMaaSを提供する必要がある。
MaaSで使う車両は業務用である以上、専用車をどう作り込むかも重要だ。トヨタはミニバン「シエナ」をベースにライドシェア専用の自動運転車を開発し、提携先の米ウーバーテクノロジーズのサービス上で運行する計画。ホンダもGMとの提携でライドシェア車両を開発し、内外装デザインなどを担う。
長時間使用に耐える耐久性、老若男女が快適に乗れる居住性、多様な用途に展開できる汎用性などが問われる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは「地味な部分と見られがちな“商用車”として出来栄えが、移動サービスの競争力を左右する」と指摘。自動車メーカー本来の実力が試される。
車両より移動サービスそのものに付加価値がシフトするMaaS。この新潮流に乗るため、自動車メーカーは従来の製造・販売だけでなく、サービスでも稼ぐビジネスモデルへの転換を急ぐ。日系メーカーのほか、独フォルクスワーゲン(VW)がMaaSを展開する子会社MOIA(モイア)を通じライドシェアサービスの提供を今夏に始めた。米フォード・モーターは、21年までにハンドルやアクセルのない配車サービス向け自動運転車を量産する計画を掲げる。
ただスマートフォンを起点にどうサービスを設計するか、自動車メーカーは知見に乏しい。また開発費負担をどう軽減するかも課題だ。競争を勝ち抜くには、「変化を受け入れ、他社とオープンに連携していけるかがカギ」(中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト)だ。
このため、他社との提携戦略は全ての自動車メーカーにとって最重要の経営テーマ。ドライバーの安全確保や品質の高い車を安くつくる生産技術など自動車メーカーの強みと、IT企業のサービス開発やユーザーインターフェース設計に関するノウハウを融合させ、魅力的なMaaSを提供する必要がある。
MaaSで使う車両は業務用である以上、専用車をどう作り込むかも重要だ。トヨタはミニバン「シエナ」をベースにライドシェア専用の自動運転車を開発し、提携先の米ウーバーテクノロジーズのサービス上で運行する計画。ホンダもGMとの提携でライドシェア車両を開発し、内外装デザインなどを担う。
長時間使用に耐える耐久性、老若男女が快適に乗れる居住性、多様な用途に展開できる汎用性などが問われる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは「地味な部分と見られがちな“商用車”として出来栄えが、移動サービスの競争力を左右する」と指摘。自動車メーカー本来の実力が試される。
日刊工業新聞2018年10月5日