独ダイムラー採用の音声認識、米ニュアンス社の技術は何が違う?

感情を読み取るAI利用したシステムの開発も

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米ニュアンス・コミュニケーションズが提案する次世代インターフェース向けソリューション
 米ニュアンス・コミュニケーションズ(NC)が車載向けの音声認識技術で存在感を高めている。自動運転やコネクテッドカー(つながる車)の使い勝手を高める手段で音声認識技術を利用する動きが顕著なためだ。NCは音声認識技術に人工知能(AI)やセンサーを組み合わせて差別化し、次世代インターフェースの開発などで完成車メーカーとの直接取引の拡大を狙う。

 「あのお店の営業開始時間は何時?」。ドライバーが窓越しに道路沿いのレストランを見て車載機器に問いかけると「10時からです」と答えが返ってくる―。NCが開発した対話型音声認識技術と視線検知デバイスを組み合わせた運転支援システムの一つで、最小限の指示で必要な情報を得られる。

 NCは音声認識技術の最大手。手を使わずに声で各種機器を操作する環境を提案する。車載機器向けには音声認識技術のプラットフォーム「ドラゴン・ドライブ」を提供。音声認識の基本技術のほかノイズの影響を低減する信号処理など、車内での利用環境を考慮した技術を提供できる強みを持つ。

 従来は全体の売り上げ構成比で民生分野や医療分野が多かったが、ここ数年で車載分野が伸びた。直近では独ダイムラーの高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」の新型「Aクラス」の運転支援システムにドラゴン・ドライブが採用された。

 車載向けのビジネスが広がる背景に、完成車メーカーが音声を人と車をつなぐインターフェースとして活用する動きがある。自動運転やコネクテッドカーは従来型の車と比較し、ドライバーに提供する機能や情報量が格段に増える。その中で、ドライバーに負荷をかけず快適性を高める手段として、最も基本的な情報伝達方法で他の動作を阻害することのない音声の活用が最適と考えられている。

 このためNCは音声認識技術の高度化に向けた技術開発を加速。ドラゴン・ドライブに音声認識をスタートさせるための操作が不要な機能「ジャスト・トーク」を追加した。9月上旬には米アフェクティバと協業し、感情を読み取るAIを使った運転支援システムの開発に乗り出した。ドライバーの話し方から感情を読み取り、安全な運転を促す。

 音声認識技術は米グーグル、アマゾン・ドット・コムといったIT大手も持つ。だが、NC日本法人の村上久幸プリンシパルマーケティングマネージャーはNCに「車載向けを20年以上続けてきた実績やノウハウがある」と強調する。

 NCは技術提案力を高めて完成車メーカーとの直接取引を増やし「ティア1サプライヤーへ脱皮する」(村上マネージャー)ビジョンを持つ。完成車メーカーの次世代インターフェースの開発を下支えし、車載ビジネスを広げる。
(文=下氏香菜子)

日刊工業新聞 2018年9月20日

COMMENT

梶原洵子
編集局第二産業部
記者

仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の企業連合は先日、車載情報システムに米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を採用すると発表しました。地図や音声認識技術も利用できるそうです。高度な専門技術を持つ会社として、情報技術をひとまとめで提供できる会社とこれからどう戦い、もしくは住み分けるのか。ここにもとても興味があります。

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