金沢工大学長「世代・分野・文化を超えた共創教育の時代が訪れる」

大沢敏氏インタビュー

 4学部12学科を擁する理工系の総合大学として、独自の教育活動が注目を集める金沢工業大学。新たなキャンパスの開設や、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みなどを積極的に進めている。現在は「研究成果を社会に組み込んで、その中で新たな発見を得て研究を深める社会実装」を重視している。

 ―少子化時代に大学が果たすべき役割は。

 「まだまだ学びが必要な世代や人材に教育を提供できる。これからは学生が社会人や留学生とともに学ぶ『世代・分野・文化を超えた共創教育』の時代が訪れる。今後は人工知能(AI)やロボットも共創の対象だ」

 ―AI、ロボットなどの技術の「社会実装」を進めています。

 「2018年4月に開設した白山麓キャンパス(石川県白山市)に、農業やエネルギー問題などへの研究成果の社会実装を行う拠点として地方創生研究所を設置した。中山間地域の課題から地球規模の問題まで、産学連携で『ソサエティー5・0』の実現に向け社会実装の実証実験を行う」

 ―SDGsへの取り組みは。

 「本学は23年前から社会の問題・課題を明らかにして解決策を検討、実行する実践的な『プロジェクトデザイン教育』を行ってきた。予見していたわけではないが、社会実装を通じた地域や地球の課題解決がSDGsにつながる。学生の社会貢献への欲求にも応えたい」

 ―先端技術によって、教育課程はどう変化しますか。

 「社会人向けにAI人材育成プログラムを開講した。大学でも20年には全学部共通でAIを必須科目にする。さらに今後教育を大きく変えうるのは遠隔や仮想現実(VR)だ。遠隔で実装実験を行い、現場に行かなくてもVRを通じて教室で討議する。社会人が通学しなくても職場から講義を受講できる。一方、大学の責任として技術の進歩に伴う科学者の倫理的問題の教育も不可欠だ」

【略歴】おおさわ・さとし 91年(平3)東京理科大院理学研究科博士修了、同年米マサチューセッツ大学博士研究員など。96年金沢工大講師、98年助教授、04年教授、15年副学長、16年学長。東京都出身、57歳。

日刊工業新聞2018年9月20日

日刊工業新聞 記者

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09月20日
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これまで培ってきた教育課程に、自らいち早く最先端の技術や考え方を「実装」している。そのスピード感や、拠点を整備し連携を進める姿に地元産業界からの信頼も厚い。これから「社会実装」を実行する現場は里山から世界まで幅広い。生まれた研究成果がどのようにして社会をより良く変えていくのか、注目していきたい。(金沢支局長・本荘昌宏)

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