米国の「対中制裁」第3弾、4人のエコノミストたちはこう見る

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トランプ公式フェイスブックページより
 トランプ米大統領は中国の知的財産権侵害に対する制裁関税の第3弾を24日に発動すると発表した。中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に10%の関税を上乗せする。米中摩擦の今後の見通しと世界経済に与える影響について聞いた。

米の強硬姿勢、しばらく続く


【みずほ総合研究所・欧米調査部長 安井明彦氏】
 
 米国は今後もしばらく強く出るだろう。小康状態は訪れるとは思うが、中間選挙後と見られる。11月末の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の米中首脳会談で何らかの妥協が成立するかが今後の焦点だ。

今回の規模は以前とは異なる局面。企業活動や消費で関税の影響が感じられるようになる。これで米国の景気が落ち込むことはないと見られるが、企業活動の萎縮、中国経済や中国を通じた新興国への余波など、波及的な影響が懸念される。(談)

企業も調達先を変え始めている


【第一生命経済研究所・経済調査部主任エコノミスト 桂畑誠治氏 

 24日からの10%の関税はドル高が進んでいるほか、クリスマス商戦の仕入れももう始まっているため、発動後ただちに引き起こされる影響としては限定的だろう。2019年から25%に引き上げられるが、すでに企業も調達先を変え始めているため、米中貿易は減少しても世界貿易はさほど減らないと考えられる。

 だが中国が報復し、さらに米国が2670億ドル規模の関税をさらに課した場合は、これとは比にならない影響になるだろう。(談)

米、中国と交渉したいのでは


【大和証券・投資情報部チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄氏】

 2000億ドル相当の中国製品に対する追加関税は、当初は10%とし、2019年以降25%に引き上げるとした。いきなり25%の追加関税では米国の個人消費に影響が出てしまう。米国側にとっても、中国と交渉したいということだろう。

 現段階ではマーケットは様子見の姿勢だろう。足元ではトランプ大統領の支持率は落ちており、企業のコストは増える傾向にある。最終的には貿易戦争は回避されるのではないかと見ている。(談)

貿易摩擦の対立、そろそろ限界に


【三井住友アセットマネジメント・チーフマクロストラテジスト 吉川雅幸氏】 

 9―10月は米中貿易摩擦、トルコ情勢、イタリア問題が焦点と考えていたが、このうち米中による対立がエスカレートしている。

 ただ、貿易摩擦の対立は、そろそろ限界まで来た感がある。米国にとって、これまで追加関税で家計への影響が出ないようにしてきたが、今後、消費財にも対象品目が広がっていけば、一定の悪影響は避けられないからだ。当面の注目点は、中国がすぐに対抗措置をとるかどうかがポイントになるだろう。(談)

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

米中の貿易摩擦は、21日に開催予定のFFRにも影を落としそうだ。中国への強硬姿勢で支持を集めるトランプ大統領は、日本に対しても批判を強めている。「中国への制裁関税のように、いったん自動車関税を上乗せした上で交渉を優位に進め、譲歩を引き出す戦略になるかもしれない」(経済産業省幹部)

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