高齢社会をお助け?家具に技術革新もたらす企業

I&C、電動型を提案

 I&Cの佐田幸夫社長は、利用者の高さに合わせ、電動で昇降する家具「LAP(ラップ)」を提案している。家具に技術革新をもたらすのが狙いだ。2014年6月に住宅向け洗面台「LAP―100」と、医療介護福祉施設向け洗面台「同200」を発売。累計1500台以上を販売した。

 両親が木製建具に携わり、幼少期から家具づくりが身近だった。1960年代後半以降、婚礼たんすなど和式家具が成熟期を迎え、居住空間も洋式が一般的になった。佐田社長は「日本特有の家具文化に新たな機能を付け、価値を生めないか」と考えた。

 2008年のI&C創業後、住宅や病院などの内装デザインや、特注の収納家具などを手がけた。転機は13年3月。特別支援学校から、生徒の身長や発達に応じた調理台を作れないかと相談された。海外メーカーなどが販売する手動レバー式の調理台があった。昇降範囲は10センチメートル程度。平均価格は300万円以上と高価だった。

 佐田社長は特注家具を専門としてきた知見を生かし、「自動で昇降し、もっと安価な調理台」を考案した。モーターといった部品を海外から取り寄せ、1カ月ほどで開発。昇降範囲は約40センチメートル、販売価格は約60万円に抑えた。

 以来、「高齢化が進む日本発の、介護福祉に特化したデザイン性のある機能的な家具作り」を始めた。特別支援学校向けの開発経験を生かし、国内の病院や介護施設などの潜在需要を取り入れた。洗面台が自動で昇降するため、介護を受ける人が自ら歯を磨ける。介護士の負担軽減につながると評価された。

 介護現場の意見の聞き取りや、「異なる業界の知見を持つ人材の登用も進めた」。衛生用品メーカーの元事業推進担当、家電分野の海外展開に明るい人材などを経営陣に加え、製品開発を強化した。LAPシリーズの売上高に占める割合は、18年2月時点で約25%。21年には約95%の主力事業へ育てる計画だ。

佐田幸夫社長

(文=中野恵美子)

【企業プロフィル】
▽所在地=大阪市中央区南船場4の6の10▽売上高=非公開▽設立=08年(平20)12月

日刊工業新聞2018年9月17日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
09月17日
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今後は「海外での設計開発や販路拡大を進める」(佐田社長)。17年1月にはニューヨークへ拠点を構え、展示会などを通して顧客開拓を始めた。同年11月には介護や医療、内装デザインの知見を得るためデンマークへ開発拠点を設置した。「地方自治体や研究機関などと協力し、設計と実証実験に取り組む」考えだ。
(日刊工業新聞社神戸支局・中野恵美子)

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