ニュースイッチ

工作機械受注の外需が21カ月ぶり減。米中貿易摩擦の影響が

経済の先行指標
 日本工作機械工業会(日工会)が11日まとめた工作機械の8月受注実績(速報値)は、前年同月比5・3%増の1405億5200万円となり、21カ月連続で増加した。8月として初めて1400億円台に達したが、外需は21カ月ぶりに減少した。米中貿易摩擦の影響があったようだ。

 外需は同4・4%減の781億4400万円だった。8月としては過去3番目の高水準ながら、2年に達しようとしていた連続増加が途切れた。

 すでに中国向けは、スマートフォン関連の大口受注が調整局面に入っており、7月には一般機械向けも減少していた。9月に控えていた米国での大型展示会に向け、受注の先送りもあったとみられる。

 内需は、同20・5%増の624億800万円で19カ月連続の増加だった。8月としては、2008年のリーマン・ショック後に初めて600億円を超えた。
月別の工作機械受注額の推移

日刊工業新聞2018年9月12日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 2011年10月-14年3月ごろを振り返ると、内・外需を合わせた受注総額が1000億円に届かないことも珍しくありませんでした。13年1月の受注総額は716億円、このうち外需は476億円でしたので、現在(18年8月)と比べて受注総額で約5割、外需で約6割の水準だったということになります。10年前の米リーマン・ショックの直後はもっとひどかったと聞きます。  今回、21カ月ぶりに外需が減少に転じたというのは、確かに一つの節目ではありますが、連続記録はいつか途切れるもの。単月の増減に一喜一憂せず、3カ月、6カ月、1年間といったスパンで受注の潮目の変化を検証すべきだと思います。

編集部のおすすめ