携帯大手、料金値下げ要請の回答は分離型プランの強化!?
中古端末の利用など選択肢増やす
携帯電話大手が端末価格を割引しないことで通信料が割安になる分離型の料金プランを強化する。ソフトバンクは29日、ユーチューブやフェイスブックなど対象の動画サービスや会員制交流サイト(SNS)が使い放題となる新プランを9月6日に始めると発表。NTTドコモも1日から分離型プランの対象機種に米アップルの「iPhone(アイフォーン)6S」を加える。中古端末の利用など利用者の選択肢を増やし、料金引き下げにつなげる。
「通信料が25―30%超安くなる」―。ソフトバンクの榛葉淳副社長は新プラン「ウルトラギガモンスター+(プラス)」の発表会見でこう胸を張った。
新プランは毎月50ギガバイト(ギガは10億)まで使えるデータ容量に加え、「アベマTV」「TVer」「ギャオ!」「フールー」「LINE」「インスタグラム」など八つのSNS・動画サービスを使い放題にした。すべてのデータ通信を使い放題にしたキャンペーンも2019年4月7日まで実施する。
料金は家族4人以上での加入などの条件を満たせば月3480円から。端末の割引がなくなれば従来のセット販売より高くなる可能性もあるが、榛葉副社長は「プランの内容が良くなりつつも(従来のセット販売に比べて)同等か、よりお得になる」と自信を見せる。ソフトバンクは年内の上場を目指しているだけに、「プライスリーダーとして顧客が満足するプランを先進的にリードしてきた」(榛葉副社長)意地を見せた格好だ。
分離型プランではNTTドコモが17年夏に毎月の利用料を1500円割り引く「ドコモウィズ」を投入。KDDIは月1980円から利用できる「ピタットプラン」を始めている。
総務省がまとめた2017年度の「電気通信事業分野における市場検証」によると、携帯電話大手3社の料金に「不満」「非常に不満」と答えた利用者の割合は37・0%(前年度比6・7ポイント減)となり、「満足」「非常に満足」の20・2%(同4・1ポイント増)を上回った。料金引き下げにつながるプランの新設もあり満足度は上昇したが、3社のサービスの不満足な点でも「月額料金が高いこと」が69・9%に達しており、さらなる対応が求められる。
携帯電話市場検証で3社のサービスの不満足な点の2位は「端末価格など初期費用が高い」が37・0%。以下、「契約が期間拘束となっている」が28・3%、「割引やキャッシュバックの対象者が偏っていて不公平」が27・6%だった。
このうち、移動系通信サービスにおける期間拘束プランについて「当初の拘束期間経過後は基本料金をそのままにいつでも解約できるようにするべきだ」と答えた利用者が63・3%と最多となった。
キャッシュバックに関する認識では「キャッシュバックの増額よりも通信料金の引き下げを優先してほしい」との回答が最も多く78・5%だった。大手3社の利用者の55・2%がキャッシュバックを「通信料金の高止まりの要因の一つだと思う」と回答。「料金プランをわかりにくくしている」も67・1%に達し、利用者の不満がうかがえる。
また、大手3社の利用者の約3割がデータ通信使用量の容量上限の「半分未満」と回答した。
総務省はこうした不満のうち、2年契約満了時点に違約金や25カ月目の通信料金を支払わずに解約できるよう6月に行政指導を実施した。利用者が利用実態に応じたサービスを選択できるよう、データ使用量と契約している料金プランが乖離(かいり)している利用者に適正な料金プランの例を案内するよう要請もしている。
端末購入に伴うキャッシュバックも、大手3社から販売店に端末代金の販売価格や値引き額を実質的に指示することが業務改善命令の対象になることを明確化するガイドラインの策定が必要だとする意見が有識者から出され、厳正に対処していく方針だ。
携帯大手3社の料金を巡っては、菅義偉官房長官が「4割程度引き下げる余地がある」と言及し、値下げ圧力が高まった。
総務省は情報通信審議会で議論を進めるが、2年縛りやキャッシュバックの見直しが焦点の一つになりそうだ。
SIMロック解除による中古スマートフォンの普及もカギを握るが、バッテリーの持ちの悪さや衛生の問題などを理由に60・3%が「利用したこともなく今後も利用したいと思わない」と回答している。バッテリー問題の改善といった消費者意識を変える施策も求められる。
「通信料が25―30%超安くなる」―。ソフトバンクの榛葉淳副社長は新プラン「ウルトラギガモンスター+(プラス)」の発表会見でこう胸を張った。
新プランは毎月50ギガバイト(ギガは10億)まで使えるデータ容量に加え、「アベマTV」「TVer」「ギャオ!」「フールー」「LINE」「インスタグラム」など八つのSNS・動画サービスを使い放題にした。すべてのデータ通信を使い放題にしたキャンペーンも2019年4月7日まで実施する。
料金は家族4人以上での加入などの条件を満たせば月3480円から。端末の割引がなくなれば従来のセット販売より高くなる可能性もあるが、榛葉副社長は「プランの内容が良くなりつつも(従来のセット販売に比べて)同等か、よりお得になる」と自信を見せる。ソフトバンクは年内の上場を目指しているだけに、「プライスリーダーとして顧客が満足するプランを先進的にリードしてきた」(榛葉副社長)意地を見せた格好だ。
分離型プランではNTTドコモが17年夏に毎月の利用料を1500円割り引く「ドコモウィズ」を投入。KDDIは月1980円から利用できる「ピタットプラン」を始めている。
日刊工業新聞2018年8月30日
携帯料金「不満」37% 総務省が17年度市場検証
総務省がまとめた2017年度の「電気通信事業分野における市場検証」によると、携帯電話大手3社の料金に「不満」「非常に不満」と答えた利用者の割合は37・0%(前年度比6・7ポイント減)となり、「満足」「非常に満足」の20・2%(同4・1ポイント増)を上回った。料金引き下げにつながるプランの新設もあり満足度は上昇したが、3社のサービスの不満足な点でも「月額料金が高いこと」が69・9%に達しており、さらなる対応が求められる。
携帯電話市場検証で3社のサービスの不満足な点の2位は「端末価格など初期費用が高い」が37・0%。以下、「契約が期間拘束となっている」が28・3%、「割引やキャッシュバックの対象者が偏っていて不公平」が27・6%だった。
このうち、移動系通信サービスにおける期間拘束プランについて「当初の拘束期間経過後は基本料金をそのままにいつでも解約できるようにするべきだ」と答えた利用者が63・3%と最多となった。
キャッシュバックに関する認識では「キャッシュバックの増額よりも通信料金の引き下げを優先してほしい」との回答が最も多く78・5%だった。大手3社の利用者の55・2%がキャッシュバックを「通信料金の高止まりの要因の一つだと思う」と回答。「料金プランをわかりにくくしている」も67・1%に達し、利用者の不満がうかがえる。
また、大手3社の利用者の約3割がデータ通信使用量の容量上限の「半分未満」と回答した。
総務省はこうした不満のうち、2年契約満了時点に違約金や25カ月目の通信料金を支払わずに解約できるよう6月に行政指導を実施した。利用者が利用実態に応じたサービスを選択できるよう、データ使用量と契約している料金プランが乖離(かいり)している利用者に適正な料金プランの例を案内するよう要請もしている。
端末購入に伴うキャッシュバックも、大手3社から販売店に端末代金の販売価格や値引き額を実質的に指示することが業務改善命令の対象になることを明確化するガイドラインの策定が必要だとする意見が有識者から出され、厳正に対処していく方針だ。
携帯大手3社の料金を巡っては、菅義偉官房長官が「4割程度引き下げる余地がある」と言及し、値下げ圧力が高まった。
総務省は情報通信審議会で議論を進めるが、2年縛りやキャッシュバックの見直しが焦点の一つになりそうだ。
SIMロック解除による中古スマートフォンの普及もカギを握るが、バッテリーの持ちの悪さや衛生の問題などを理由に60・3%が「利用したこともなく今後も利用したいと思わない」と回答している。バッテリー問題の改善といった消費者意識を変える施策も求められる。
日刊工業新聞2018年8月30日