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ドコモ社長が語る“dポイント経済圏”の勝算

購買データでマーケティング最適化
 NTTドコモが自社ポイントサービス「dポイント」を軸とした経済圏を拡充している。ドラッグストア大手のマツモトキヨシやローソンでの買い物で利用可能にするなど提携企業数を拡大。2017年度の会員数は前年度比425万人増の6560万人に増えた。顧客基盤の軸を従来の回線契約者からdポイント会員に変えた狙いを吉沢和弘社長に聞いた。

 ―顧客情報管理システムの顧客識別手段を携帯電話番号からdポイント利用時に使うdアカウント中心に変更しました。
 「dアカウントには顧客が利用するさまざまなサービスがひも付いている。(ポイント会員ではない回線契約者にdアカウント取得を推奨できるようになるなど)顧客情報が整理された結果、ドコモショップでのポイント会員獲得率が着実に伸びた。6月だけで会員数は約50万人増え6600万人を超えた」

 ―マツモトキヨシでは6月末までdポイント3倍キャンペーンを実施しました。
 「dポイントを貯めて使ってもらうことでdカードなど自社決済や回線契約者が増え、顧客基盤に集まる情報もより精密化される。こうして集めた購買データを基に、当社やポイント加盟店が顧客の住む地域や属性に最適なマーケティングを行い、売り上げを増やす。この好循環を生み出し続けるためにも量販店やガソリンスタンドなど日常で頻繁に通うポイント加盟店を増やしていく」

 ―dポイント会員にさらなる価値を提供することが会員増につながりそうです。
 「人工知能(AI)が利用者の行動や状況を学習して最適な情報を提供するマイデイズを活用し、会員が店舗で長時間待たされることなく、ネット通販で効率的に機種変更ができるサービスを実現させたい。会員の契約情報を基にマイデイズが携帯端末の更新期を知らせ、会員の好みに合った端末やプランを推奨し、ネット通販でもわかりやすい機種変更を可能にする。そうすることで顧客の利便性向上だけでなく代理店やコールセンターの負担も減らしたい」

 ―dポイントを使った投資体験の利用者が提供開始から3週間で10万人を超えました。
 「30―40代の資産形成層を中心に幅広い年代に利用されている。総運用ポイント数も3億ポイントを超えた。AIを用いて資産運用をアドバイスする『テオプラスドコモ』も始めた。こうしたフィンテック(金融とITの融合)サービスの次はレンディング(融資)を手がけたい。レンディングのターゲットを含め最終的な判断をする」
NTTドコモ社長・吉沢和弘氏
日刊工業新聞2018年7月12日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
今年に入り、広告や店舗でdポイントキャンペーンを見る機会が増えた。その狙いはポイント会員基盤の強化に伴うドコモ経済圏の拡充だ。19年10月に第4のキャリアとして楽天が携帯電話事業に参入するだけに、楽天のID数9500万超えが当面の目標となる。国内だけでなく海外でのポイントサービス強化も求められそうだ。 (日刊工業新聞社・水嶋真人)

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