スーパーサイクルが追い風、活況続く半導体製造装置に死角なし?

世界販売、今年7兆円

 IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などの普及に伴い、半導体需要が増える中、半導体製造装置各社の業績が好調だ。半導体需要が長期的に拡大し続ける「スーパーサイクル」と呼ばれる波に乗り、各社は業績を伸ばしている。短期的な数字だけを見ると明暗が分かれたが、通期では良好な見通しを示す企業が少なくない。

 アドバンテストは、2018年4―6月期連結決算(国際会計基準)の売上高が前年同期比74・3%増の709億円、営業利益は同7・1倍の158億円と急伸した。半導体検査装置「V93000」は、売り上げが大幅に伸びているという。吉田芳明社長は「顧客から期待されている納期に間に合わないほどの忙しさだった」と振り返る。

 東京エレクトロンの18年4―6月期連結決算は売上高が同25・0%増の2955億円、営業利益が同32・2%増の724億円を記録。データセンター(DC)向け需要がけん引し、半導体メーカーの継続的な設備投資がみられた。笹川謙経理部長は「上期(18年4―9月期)の業績予想もかなり高水準となる予定」という。

 アルバックは18年6月期連結決算で、半導体・電子部品製造装置部門の売上高が前期比41・8%増の516億円だった。半導体の製造に使う真空装置などが好調だった。その他の部門も含めた売上高は同7・5%増の2492億円で、創業以来最高を記録。営業利益は同20・0%増の353億円と、3期連続の最高益を更新した。同社はスーパーサイクルを追い風として、23年6月期には18年6月期比20・4%増となる売上高3000億円を目指す。また営業利益率は足元の14・2%から16%へ引き上げる。

 半導体露光装置メーカーも堅調だ。キヤノンは18年1―6月期に、前年同期比13台増の32台の半導体露光装置を販売。田中稔三副社長最高財務責任者(CFO)は好調の要因を「メモリー向け需要が引き続きけん引役となっている。通信や車載向け需要も高まっている」と分析する。ニコンは、18年4―6月期に同2台増となる7台の半導体露光装置を販売した。岡昌志副社長執行役員兼CFOは「顧客ニーズは旺盛」と、好調な事業環境を説明する。

 18年4―6月期連結決算では前年同期比でマイナスだったものの、今後の見通しに期待感を示す企業もある。

 ディスコは17年にみられた大型投資案件がなかったものの、旺盛な需要は継続。売上高は同9・1%減の403億円、営業利益は同24・3%減の114億円だった。18年4―9月期は売上高が同9・2%減の786億円、営業利益は同25・6%減の215億円となる見込み。19年3月期の見通しは公表していないものの、溝呂木斉会長は「DCや第5世代通信(5G)、車載向けなどアジアを中心にさまざまな顧客の投資が活発化してくると思われる。(そのため)18年度やそれ以降の見通しも過度に悲観していない」との見方を示す。

 日立ハイテクノロジーズは、主要顧客が投資計画を変更したあおりを受けて半導体製造装置などを扱う電子デバイスシステム部門の売上高(国際会計基準)が同6・1%減の357億円、EBIT(税引き前利益から受取利息と支払利息を除外した数値)が同21・6%減の89億円となった。だがサーバー市場の需要拡大に伴う投資継続が見込めることなどから、同部門の18年4―9月期の売上高(同)は同17%増の822億円、EBITは同30億円増の208億円となる見通し。
 
 半導体製造装置・材料の国際団体である米SEMI(カリフォルニア州)によると、18年の半導体製造装置販売額は、グローバルで前年比10・8%増の627億ドル(約7兆円)と予測されている。566億ドルで過去最高だった17年を上回る勢いだ。さらに19年は同7・7%増の676億ドルに達するとしている。

 

日刊工業新聞2018年8月17日

日刊工業新聞 記者

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08月17日
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良好な事業環境を背景に、今後も各社の好業績が期待できそうだ。
(日刊工業新聞社・福沢尚季)

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