ソニーがルネサス出身の車載半導体エースをスカウト

大村氏が執行役員半導体担当常務補佐に

 ソニーは26日、執行役員半導体担当常務補佐に、元ルネサスエレクトロニクス執行役員常務の大村隆司氏が9月1日付で就く人事を発表した。大村氏はルネサスで車載半導体事業を統括していた。ソニーは現在、画像センサーを軸とする半導体事業で車載向けの展開を強化している。大村氏の就任で戦略が一気に加速しそうだ。

 大村氏は3月29日付でルネサスのフェローに就任していた。ソニーでは、まず半導体事業会社社長の清水照士常務の補佐役を務める。就任後、数カ月以内に正式な担当範囲を決める予定だ。ソニーは今回の人事について「大村氏の経験や専門性を、さらなる成長につなげたい」としている。
              

                   

日刊工業新聞2018年7月27日



車メーカーと直接対話する機会増える


 先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の本格普及を前に、半導体メーカーに求められる役割が広がっている。車載向け半導体の将来像を示し、それによりどんな新機能を実現できるかを訴求する取り組みが重要になってきた。ルネサスエレクトロニクスの大村隆司執行役員常務に、車載向け半導体を取り巻く環境や同社の戦略について聞いた。

 ―ADASや自動運転の実現のため車メーカーがIT化の取り組みを加速する中、半導体メーカーの立ち位置も変化してきました。
 「最近、当社は車メーカーから『10年後に半導体で何が実現できるか』といった問い合わせをよく受ける。走る、曲がる、止まるの制御とITの融合が、車メーカーにとって大きな課題となった。これまでは車メーカーと半導体メーカーの間には1次サプライヤーが介在していたが、直接対話を求められる機会が多くなったと感じる」

 ―そうした求めにどう対応しますか。
 「顧客の視点にもっと近づくことが重要と考える。当社の半導体で実現できる機能をモノを通じて体験してもらう。実際に『ADASカー』を試作し米ラスベガスで走らせた。マイコンやシステムLSIなどの性能をアピールすることはもはや重要ではない」

 「かつて当社は、いわば(材料の)”大根“や”にんじん“を『どうぞ』とやっていた。今はある程度の”料理“に完成させて提案している。すると顧客側もプロだから、自社技術と組み合わせて実現できる製品を想像できる。こうした関係を構築していきたい」

 ―顧客ニーズに沿った”料理“を提供できるかが問われますね。
 「自前ですべての材料を揃えられるとは思っていない。アルゴリズムやソフトウエアなど当社が手薄な部分は他社との提携や協業で補っていく」

 ―エコシステム(ビジネスの生態系)づくりが重要になります。
 「現在、(ルネサスの車載向けLSIと連携する製品・ソフトを開発する企業で組織する)『R―Carコンソーシアム』を展開している。さらにADASにフォーカスしたコンソーシアムを立ち上げる構想を練っている。餅は餅屋だ。当社はマイコン、LSI、アナログ、パワー半導体をしっかり進化させる。足りない部分はエコシステムでカバーして競争力を高める」

日刊工業新聞2016年3月7日


大村隆司氏

明 豊

明 豊
07月27日
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ルネサスは日立、三菱電機、NECの3社が母体。大村さんは三菱電機出身の56歳。ソニーの車載向け画像センサーは、自動車メーカーからの評価がずいぶんと高い。自動車部品メーカーも含めてシステムとしての提案が活発になっており、現在はセンサー単品で展開するが、ソニーも体制を整える必要があるだろう。2年前のインタビューにもあるように、半導体メーカーの立ち位置も変化している。ルネサスの車載半導体がトヨタが2020年に実用化予定の自動運転車に採用されたりしている。ソニーは大村さんのバッググラウンドを生かしたいところだ。I一時、ルネサスの出口戦略でソニーが株式取得に動く?という噂もながれたが、獲得したのはキーマンだった。

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