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人材不足の半導体製造装置・部材業界、AIで生産効率化急げ

顧客サポートで活用も
人材不足の半導体製造装置・部材業界、AIで生産効率化急げ

大日本印刷はAIを使ってフォトマスクの生産効率化を図る

 IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の普及に伴い、半導体製造に使う装置や部材の需要が増加する中、半導体製造装置・部材メーカーもIoTやAIを駆使して生産や顧客サポート体制を強化している。大日本印刷は半導体製造に使う部材の生産をAIで効率化する。キヤノンは顧客サポートでのAI活用を始めた。ウシオ電機は装置の故障防止や機能改善などにAIを導入する。

 大日本印刷は回路を半導体ウエハーに転写する際の原版「フォトマスク」の生産現場でAIの活用を2018年から本格化する。フォトマスクの製造装置の稼働状況などをIoTセンサーで取得する。取得した情報はAIで解析し、故障の予知保全や装置のメンテナンス間隔の延長につなげる。

 装置のメンテナンスは数週間から数カ月に1回程度、定期的に実施しているが、メンテナンスに数日かかるものもあるという。AIで効果的なメンテナンス間隔を装置ごとに算出できれば、生産性向上につながる。

 17年にフォトマスクの生産に使う主要装置の2割を対象にAIを導入し、突発故障の削減や定期メンテナンス間隔の延長を実現した。異物の数が減るといった品質向上にも効果があったことから、18年から対象となる装置を5割以上に広げてモニタリングする。

 キヤノンは半導体露光装置のフィールドサポートでAIの活用を始めた。今後は電話で現場の顧客に対して適切なガイダンスをしたり、サービス部門が顧客の拠点で行うべきサポート内容などについて、効率よく最適な解を導けるシステム構築を目指す。

 ウシオ電機は、半導体露光装置の稼働率を維持・向上するために2―3年以内にAIを導入する。顧客との契約に基づき、半導体露光装置に搭載したセンサーで装置の異常などの情報を取得する。取得したデータは、故障を未然に防ぐことのほか、装置の機能改善などに役立てられる。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
半導体業界では、半導体需要が長期的に拡大し続ける「スーパーサイクル」に入ったとみられる一方、人材不足が深刻な課題となっている。半導体製造装置・材料の国際団体である米SEMI(カリフォルニア州)によると、世界的な人材不足は1万人以上に上るという。IoTやAIの導入は生産性向上に加えて人材の有効活用にもつながることから、生産効率化や顧客サポートを進める動きが今後も活発化しそうだ。 (日刊工業新聞社・福沢尚季)

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