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“みりん”さらば…ハラール認証の油揚げでASEAN市場を狙う

日本製粉の子会社、日本食ブームに乗り輸出を拡大
“みりん”さらば…ハラール認証の油揚げでASEAN市場を狙う

甘木工場(福岡県朝倉市)に設置したハラール認証商品用の専用ライン

 日本製粉の子会社のオーケー食品工業は、業務用味付け油揚げで国内シェア約4割を占める。海外の日本食ブームに乗り輸出を拡大し、28カ国に商品を展開している。「将来的に売り上げ全体の10%ほどを海外向けで稼ぎたい」(大重年勝社長)とし、東南アジア諸国連合(ASEAN)市場に狙いを定めた動きを強めている。

 注目したのは同市場でのイスラム教の広がり。以前から現地で商品が流通していたが「イスラム人口の増加に合わせてニーズが拡大する」(大重社長)と見越し、2013年12月に日本ムスリム協会(東京都品川区)のハラール認証を取得した。

 取得のため、大豆、しょうゆ、食用油などの原料を、ハラール認証を受けたものに置き換えた。通常商品の味付けに使うみりんは、イスラム教で禁じられているアルコールを含むため認証商品には使っていない。

 製造工程は通常製品との混在を避けるため、専用ラインを設置した。豚肉やアルコールとの接触を避けるため、製品を運ぶトレーや箱も識別できるように色分けしている。

 約1年がかりで検証を重ねた後、14年にブルネイへ輸出を始めた。同国はイスラム教が国教。ASEAN内でも所得水準が高いため、通常商品より割高な認証商品も日本食レストラン向けに流通させやすい事情があった。その後、ハラール製品の展示会出展やASEAN圏の所得水準の高まりを受け、マレーシア、インドネシア、シンガポールでも認証商品を販売している。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 社内には「ハラール委員会」を設けて認証更新に対応している。イスラム教徒が多い中東もターゲットになるが「戒律がさらに厳しく対応が難しい」(大重社長)。そのため、ASEAN市場で深掘りを進めていく。 (日刊工業新聞社西部支社・高田圭介)

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