コンビニエンスストアやスーパーで無人レジの実用化が期待される中、販売時点情報管理（ＰＯＳ）システムの重要性が高まっている。ヴィンクスは汎用性が高いソフトウエアで強みを発揮。パナソニックが実証実験を進める自動セルフレジ機「レジロボ」向けに提供するなど、国内外で攻勢をかける。

　ヴィンクスのＰＯＳシステム「ＡＮＹ―ＣＵＢＥ（エニーキューブ）」は、あらゆるレジ機で動作可能な汎用性が特徴だ。竹内雅則取締役常務執行役員は「どのメーカーのハードウエアにも載るというコンセプトで幅広く展開しているのは、国内では当社ぐらい」と話す。

　現在のＰＯＳシステムは「オープンＰＯＳ」という業界標準仕様によって、周辺機器との互換性を実現する。だが東芝テックやＮＥＣなど大手レジ機メーカー各社は、基本的に自社ハードでの動作を前提としてソフトを開発する。つまりメーカー製のソフトは、他メーカーのハードに載せて運用できないというのが実情だ。

　そのため、レジ業界に新規参入する企業にとっては、ハードに依存しないエニーキューブの方が使いやすい。その一例がパナソニックのレジロボへの提供だ。商品の会計や袋詰めを自動化するという独自機能が注目を集めたが、パナソニックはレジ機自体の生産ノウハウは少ない。特に搭載するソフトはどうしても外部に頼る必要があった。

　ヴィンクスは、同様の展開を中国市場でも狙い、大規模な新規採用を見込む。中国では電子決済対応のスーパーやドラッグストアが急拡大中で、汎用的なＰＯＳシステムの需要が高い。２０２２年１２月期に国内外の累計販売台数を、現在の約３倍超の２５万台に高める計画だ。
（文・園尾雅之）