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コンビニ進化待ったなし。「次世代店舗」構築急ぐ レジロボやAI商品発注

コンビニ進化待ったなし。「次世代店舗」構築急ぐ レジロボやAI商品発注

ローソンは完全自動セルフレジ機「レジロボ」の実証実験を行った

 深刻な人手不足や人件費の高騰などを背景に、コンビニエンスストア各社がIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用した「次世代店舗」の構築を急いでいる。機械などの作業精度を引き上げることで、従業員は接客に集中できる体制を整える狙いだ。

客の行動分析


 「ライバルは他のコンビニチェーンではなく、アマゾンなどの他業態」―。ローソンの白石卓也執行役員はこう話す。ローソンは2016年末からパナソニックと、完全自動セルフレジ「レジロボ」を使った実証実験を行った。

 商品を入れた専用バスケットを置くと、自動で精算、袋詰めをする。従業員が商品のバーコードをスキャンしたり、袋に詰めたりする必要がない。商品やサービスについて来店者が聞きたくても、従業員は忙しそうでためらってしまいがち。こうした“機会ロス”をなくすのが狙いだ。

 米アマゾン・ドット・コムが運営する「アマゾンゴー」のような無人店舗を目指しているわけではない。白石執行役員は「接客をしないのなら、自動販売機で良い」と語る。

 ローソンは一部店舗に、来店者の行動を分析するカメラを設置している。通常のコンビニが取得しているPOSデータから分かるのは「何を買ったか」。

 同じ「ツナ&たまごサンド購入」でも、最初からツナ&たまごサンドがほしかったのか、「シーチキンおにぎりを探したが、品切れだったのでツナ&たまごサンドにした」のかといった違いがある。映像をから来店者の行動を分析し仮説を立て、店づくりに生かす狙いだ。

電子タグ導入


 ファミリーマートは次世代店舗の構築に向け、グーグルやLINEと連携した。グーグルとはおにぎりの発注精度向上に取り組んだ。澤田貴司社長は「コンピューターができることは任せる。従業員は地域に密着し、きめ細かく手伝いなどをするようにしたい」と話す。

 セブン―イレブン・ジャパンはNECの顔認識技術を店舗の情報管理に生かす方針だ。NTTのAI技術を使い、陳列棚の商品をスマートフォンのカメラで撮影し、原材料などの情報を表示する実験にも取り組んだ。

 経済産業省はコンビニ大手5社と25年までに、全商品へRFID(電子タグ)を付けることで合意した。電子タグは非接触で個々の商品の履歴を記録可能だ。

 経産省はコンビニが電子タグを使うことでレジや検品、棚卸し業務を高速化できるほか、万引防止や食品ロスの削減につなげられるとしている。

 ATMや荷物受け取りなど機能が多様化し、コンビニの存在感が増す中、現場の負担軽減は喫緊の課題となっている。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2017年10月13日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
25年までに全商品にRFIDタグ付与でコンビニ各社と経産省の方針での合意とのこと。期限を区切ったある程度の "強制力" によりタグの値段を下げて店舗の生産性改善を行いながら商品製造元とも連携した産業の次モデル化が加速される。IoTによる店舗内の可視化も一気に進みそうだ。これは大いに期待したい流れだ。

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