先端技術を百貨店でどう活用?そごう・西武の今どき就業体験

次世代百貨店の姿探る

 デジタルデバイスを使った百貨店ビジネスを3日間で考える―。そごう・西武は1―3日に実施したインターンシップ(就業体験)で、大学生にこんな課題を出した。インターンシップを百貨店と距離がある若い世代との接点として活用。“2030年の百貨店”を見据え、デジタルネーティブ世代の発想を把握することで、次世代の百貨店の姿を模索する。

 インターンシップ最終日。プレゼンテーションを担当した学生は「百貨店に『広くて迷う』『お店の人と話しづらい』といった不便さを感じている」と率直な意見を述べた。そのイメージを打破する手段として提案するのが、来店時以外の“日常”をも支援するサービスだ。

 「“空翔ぶAI(人工知能)スピーカー”で、生活全体をサポートする」「3Dプリンターを活用した1秒で仕上がるメークで、日々の準備を楽にする」といった学生の斬新なアイデアに、審査員を務めた山田正樹執行役員社長室シニアオフィサーは「僕は“ITおたく”だと思っていたが、『技術をこう使うんだ』とショックを受けた」と感嘆する。

 従来、そごう・西武が実施していたインターンシップは「採用パンフレットの作成」や「ビジネスマナー研修」が主だった。だが、今回は内容を大きく転換。取引先の協力を得て、初日から、学生がAIスピーカーやMR(複合現実)などの先端技術に触れる機会を設けた。

 「お客さまのライフスタイルに寄り添うという、業界に30年間いる我々が気づきにくくなっている、百貨店の『本質』を突いてくれた」。基調講演などを担当した、事業デザイン部の楠本博紀シニアオフィサーはこう語る。

 そごう・西武は17年9月、社長直轄の事業デザイン部を新設し、デジタルマーケティングなどの再構築に取り組んでいる。4月には一部店舗で、富士通の「IoT(モノのインターネット)メジャー」を用いて、オーダーメードで顧客の体に合うニットを作るサービスを始めた。

 17日には、化粧品売り場の美容部員が来店者にメークを施す様子を録画するデジタルミラーを、そごう横浜店(横浜市西区)に置く。「美容部員のメーク技術を自分で再現するのは難しい」との悩みを抱える顧客に対応しており、録画データはスマートフォンへ転送できる。
(文=江上佑美子)

日刊工業新聞2018年8月10日

江上 佑美子

江上 佑美子
08月10日
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ネット通販との競争をにらみ、小売りが実店舗に“デジタル”を取り込もうとする動きが活発だ。ただ、どの企業も有力な解は見いだせていない。そごう・西武では、今回のインターンシップを百貨店に敷居の高さを感じている若い世代らを取り込むきっかけにする。

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