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私大が就活前倒しに「反対」、学業への影響を懸念

インターンについても「ワンデー」の言葉を使わないよう求める
 日本私立大学団体連合会は2021年入社(20年度卒業)の学生の就職・採用活動時期を、現在の経団連指針で堅持すべきだとする方針を公表した。東京五輪・パラリンピックと重なることで前倒しの議論があることに対し、学業への影響から反対を示した。またインターンシップ(就業体験)で教育効果の薄い「ワンデー」の言葉を使わないよう産業界に求めた。

 経団連加盟企業は現在、就職・採用活動は3月1日に広報を、6月1日に選考をそれぞれ開始としている。大学側は学部3年生まで学業優先の日程維持がふさわしいとしており、この日程の継続希望を明示した。

 またインターンシップは多様な形式があるが、大学側は派遣5日間と前後の学びを入れる正課などのインターンシップを重視する。最近は数時間の会社見学や企業説明会にすぎない「ワンデーインターンシップ」が増加し、学生の混乱を招いていることから、この言葉を使わないよう求めた。


キーワード/正課のインターンシップ


Q インターンシップ(就業体験)はいろいろあるが。
A 国内外、長短期、単位有無で分けると8タイプになる。単位が出るのは大学の学部における正課科目で、企業派遣に加え事前調査や事後報告リポート提出など、教育効果を引き出す設計となっている。海外派遣も正課で行われる。

Q 期間は。
A 土日を除く平日5日間から2週間、これに事前・事後学習というのが望ましい定番とされる。春・夏休みを使う1カ月などもある。正課だと経営学部はマーケティング企画、理工系はメーカー派遣などが中心だ。キャリアセンターが全学部生向けに実施するものは単位が出ないが、キャリア教育に対する担当者の意識は高い。

Q “ワンデーインターンシップ”などの問題は。
A 窓口が就職支援サイトだと教育より就職・採用が目的になりがちで、1日など手間のかからないものになる。さらに学生は「参加しないと採用に不利」といったうわさから、細切れにいくつも参加し学業がおろそかになったり、夏休みの短期留学を諦めたりするケースが出ている。
日刊工業新聞2018年7月5日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
就職・採用活動においては、ただでさえ大学と企業の意見は隔たりがある。東京五輪・パラリンピックという要素が絡まってくると、さらに複雑になるかもしれない。ワンデーインターンシップは企業と学生に好まれていた印象で、大学側も1日で済むインターンは歓迎しているのではないかと感じていたが、そう簡単ではないようだ。

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