建材は赤字21億円、三協立山が成長の活路を見出す非建材の可能性

マテリアル事業の売上高比率引き上げへ

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山下清胤社長
 三協立山が非建材部門の拡大を加速する。2025年ごろをめどに、アルミニウムの材料や部品の販売を担うマテリアル事業の売上高比率を主力のアルミ建材事業並に引き上げる方針だ。国内の建材の市場環境が厳しい中、非建材の事業に成長の活路を見いだす。まずは、21年5月期までを期間にした新中期経営計画が、その足掛かりになる。

 「アルミ地金の価格変動に影響を受けない。そういう所のウエートを高める」―。18年5月期決算の会見で、山下清胤社長は同時に発表した新中計の狙いをこう説明した。

 業績を揺さぶる地金の高騰だが、影響の度合いは事業ごとで強弱が大きい。実際、同決算は地金高騰への対応力が各事業の明暗を分けた。建材事業は「激しい競合環境が継続している」(山下社長)中、売上高は微減。セグメント利益も材料高騰分の価格転嫁ができず、21億円の赤字に沈んだ。

 対照的だったのがマテリアル事業。一般機械や輸送機器向けのアルミ部品の需要が堅調で、地金市況と連動した価格転嫁も進み売上高は増加。燃料費や電力料金などの上昇で前期比では微減となったが、38億円の利益をあげた。

 このような状況で打ち出した「長期的に目指す事業構造」は、25年ごろに建材事業を60%から40%にする一方、現在はほとんどがマテリアル事業の海外展開分が占める国際事業とあわせマテリアル事業を35―40%にする構想。また、新規事業の創出など事業領域の拡大分で10%を稼ぐ方向だ。

 その道筋を描いたのが「変革と価値創造―安定かつ成長可能な事業構造へ」をテーマに掲げた新中計だ。マテリアル事業では国内外の連携によりグローバルで顧客獲得を掲げる。押し出し成形から部品加工までを一貫して手がける欧州子会社では、押出機の押出能力を90メガニュートンから100メガニュートンに強化し、鉄道用などの大型部品への対応力を高めた。さらに、需要増を見込む電気自動車(EV)分野も力を入れる。既にバッテリーケースは「さまざまなオファーが来ており、受注しているものもある」(山下社長)という。

 新規事業向けの施策では6月に「事業開発統括室」を設けた。第1弾となるのは植物工場のプラント販売になる見通し。生産設備や管理手法をパッケージ化して売る考えだ。

 無論、建材事業にもメスを入れる。新中計で低頻度品や不採算商品の集約、価格改定を進め、事業を効率化するとした。6月に建材事業の組織を再編。営業、商品開発、生産と機能別に分かれていたものを、エクステリア、住宅、ビルの事業ごとに営業、開発、生産を一体化し「意思決定を迅速化できる」(同)ようにした。

 

(文・江刈内雅史)

日刊工業新聞2018年7月31日

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これらの施策で建材事業の収益性を回復させつつ、マテリアル事業や新規領域をどれだけ伸ばせるかが、「安定かつ成長可能な事業構造」の実現に向けた試金石になる。 (日刊工業新聞社富山支局・江刈内雅史)

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