住宅市場縮小で危機の家具・建材メーカー、インバウンド需要に照準

ホテル向け商品を相次ぎ投入

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タカラスタンダードのホーロー内装材「エマウォール」の高級ホテル向け受付カウンターへの提案イメージ
 建築関連各社は、訪日外国人(インバウンド)需要を背景にホテル向け商品を相次ぎ投入している。これまで住宅向け商品の販売に力を入れてきたが、新築着工戸数は2017年7月以降、減少傾向にある。新たな顧客先として旺盛なホテル需要を狙う中、収益性の高い中高級ホテルをターゲットに絞っている。高級感のある家具や床材、壁材などの商品を提案する各社の動向を追った。

 「家具で高級ホテルの顔になる空間を提供し、上級顧客を開拓する」。大和ハウスグループでインテリア、内装事業を担うデザインアーク(大阪市北区)の六反田則幸社長は営業戦略を語る。同社はグループ向け以外にも高級ホテル向け新家具ブランドを立ち上げ、外販を強化している。

 国内では、積水ハウスと米企業が日本初上陸の「Wホテル」を大阪市内に21年2月に開業するなど、外資系高級ホテルの進出が目立つ。米不動産サービス大手のCBREによると、20年末までに開業を予定する主要8都市のホテル客室数の新規供給は、計8万室にのぼると予想している。これは16年の既存客室数の32%相当の規模だ。

 高級ホテル向けのカーペット製品が手薄だった東リは、3月に高級ホテルと太いパイプを持つタイの高級カーペットメーカー「ロイヤルタイ」(バンコク市)と日本総代理店契約を結んだ。永嶋元博社長は「引き合いはさっそくある。今期から売り上げに寄与する」と2、3年後にホテル向け全体で現行比2倍強の数億円を目指す。

 タカラスタンダードや大建工業は住宅用の商品や技術を応用し、高意匠性や重厚感のあるホテル向け内装材や壁材を製品化した。タカラはシステムキッチンや浴槽で使用するホーロー技術を応用し、内装材「エマウォール」を発売。重厚感ある色調でまとめ、高級ホテルの受付カウンターなどに提案する。

 非住宅向けの壁材に力を入れる大建工業は6月に最高級グレードで高意匠性を持つ深彫調の不燃壁材を発売する。軽量で施工が簡単な、独自の不燃素材「ダイライト」に特殊多彩塗装を施し、ホテルなど非住宅向けの壁材事業を強化中だ。

 ただ、足元で需要が高いのは宿泊特化型ホテル。国内主要8都市の開発計画の8割以上におよぶ。「中級層ホテルの主流はロールカーペットからタイルカーペットにシフトしている。今秋に新商品を投入する」(東リの永嶋社長)。

日刊工業新聞2018年6月1日

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ホテル需要をどれだけ取り込めるかは、付加価値の高い商品やニーズに応じた商品をいち早く投入できるかがカギとなりそうだ。 (日刊工業新聞大阪支社・香西貴之)

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