研究開発に3年で500億円、鹿島が建機自動化で人手不足解消へ

鹿島常務執行役員技術研究所長・福田孝晴氏インタビュー

 鹿島は2018―20年度のグループ中期経営計画で研究開発(R&D)の戦略的推進を打ち出している。業績が堅調な中、研究開発に3年で500億円を投じる計画。国内外でいかに研究開発に取り組むか、福田孝晴常務執行役員技術研究所長に聞いた。

 ―研究開発の基本方針は。
 「最近の社会の変化はスピードが速い。IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)、ロボットが入り込み、社会が変わり建設業がどう変わるか。将来の持続的成長を支える基盤に種をまき、しっかり投資する。また、持続可能な開発目標『SDGs』が世界の共通目標となり、ESG(環境、社会、企業統治)を踏まえた研究開発が必要だ」

 ―重点領域は。
 「技能労働者不足を受け、生産性向上が大きなテーマ。土木は『現場の工場化』を目指す。人手から機械に置き換えて自動化し、最後は人が関わらない無人化。代表が建機の自動化施工『クワッドアクセル』だ」

 「建築は『スマート生産』が目標。機械、ロボットが効率化できる部分を探し、溶接や床仕上げ、外壁取り付けロボを投入する。3次元(3D)モデリング技術のビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)など、情報通信技術(ICT)ツールを全面的に活用し、全体の生産性を上げる」

 ―社会課題を解決する研究開発は。
 「環境・エネルギー分野ではゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)をはじめ、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギーでは洋上風力発電、地中熱などの研究を進める」

 「日本は防災、減災、事業継続計画(BCP)の比重も大きい。制震、免震の予防力に加え、最近は予測やシミュレーションに力を入れる。地震の時に判断基準を高度にしていく研究開発は重要テーマ。設計基準の想定を超えても顧客が守りたいニーズに応える」

 「ウエルネス(健康性)向上で知的活動の生産性を上げ、人の最適な環境の空間の提供にも商機がある」

 ―オープンイノベーションや海外の外部連携の取り組みは。
 「大学や国の研究機関などと組織対組織の関係を築く。人の行き来や交流により知を融合する。顧客企業とも一歩踏み込む『共創』関係で開発する」

 「技術研究所のシンガポール拠点は人脈形成の第1段階から、シンガポール国立大学など大学や研究機関と鹿島の最新技術を現地で生かす第2段階に入った。同国は環境ビル制度があり、ZEBにも力を入れる。人員は現在の10人弱から倍増したい。現地の優秀な研究者を増やし、オフィスも拡張する」
福田孝晴氏

日刊工業新聞2018年8月3日

日刊工業新聞 記者

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08月03日
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足元の課題である人手不足に伴う生産性向上と、将来の社会課題の解決という重点テーマに取り組む。社会の変化に素早く対応しながら、バランス良くメリハリをつけて研究開発を推進。機械化、自動化、ロボット化の進展が期待される。海外ではシンガポール拠点を含め、外部連携の事例が増えそうだ。(編集委員・神谷信隆)

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