川崎重工、ロボット事業拡大のカギは“油圧”との融合

橋本康彦取締役常務執行役員に聞く

 川崎重工業は4月にロボット事業を拡大するため、油圧機器やロボット部門を担う「精密機械カンパニー」を「精密機械・ロボットカンパニー」に改称した。新カンパニーの発足と同時にトップのプレジデントに就任した橋本康彦取締役常務執行役員に戦略を聞いた。

 ―油圧とロボ技術の融合を掲げています。

「例えばヒューマノイド(人型ロボット)の膝部分に、油圧機構を電動モーターで動かすアクチュエーターを搭載した場合、グッと瞬発で力を入れたり、スピードを上げたりできる。また一定以上の力を受けると力を逃がすこともできる。建設機械ではこうした油圧の衝撃や環境変化への強さを生かしており、この特徴はロボットのメリットにもなり得る。医療や屋外作業用などこれからのロボットでも油圧の活躍が見込まれ、重要な要素技術だと考えている」

 ―建機にもロボ技術が求められています。

 「建機業界では半自動運転や遠隔操作による無人運転技術の開発が進む。こうした技術は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を含め、これまでロボットで取り組んできた技術であり、当社ならではの提案ができる。油圧とロボット技術の融合は双方にメリットがあり、将来新たな市場を切り開く可能性がある。両方の技術を持つ強みを生かし、互いを高め合うことが、新カンパニーの役割になる」

 ―海底パイプラインの検査向けに、ロボットアームを備えた自律型無人潜水機(AUV)を開発しました。

 「ロボット技術がいろいろな場面で求められている。AUVは潜水艦とロボット技術の合体で、ロボットではなないがロボット技術があるから付加価値が生まれる。自動化などのロボット技術で各カンパニーの生産性を向上するだけでなく、各製品に一部ロボット的なエッセンスを加えることで、より魅力的な製品開発の一助になれると考えている」

 ―2017年に産業用ロボットを遠隔操縦して作業を記憶し、同じ作業を自動化できるシステム「サクセサー」を開発しました。

 「18年度にも、西神戸工場(神戸市西区)で小型ロボットの生産をはじめ、サクセサーを活用した塗装ラインを導入する。量産部品は従来通り自動で塗装。まとまったオプション部品は、最初の一つを作業者がサクセサーを操縦して塗装し、残りの塗装作業を自動化するといった使い方を想定する。防塵服などを身につけての塗装は作業者の負担も大きく、一日も早く作業環境を変えていきたい」

日刊工業新聞2018年8月2日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
08月02日
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双腕型の協働ロボット、サクセサー、手術支援ロボット、ヒューマノイドなど従来の産業用ロボットの枠組みを超え、総合ロボットメーカーへと領域を拡大する川崎重工業。橋本康彦取締役が入社した1981年当時は油圧駆動のロボットを設計していた。知見のある油圧技術との融合を図り、独自の技術で新たな市場を切り開く新カンパニーの動向が注目される。
(日刊工業新聞社・西沢亮)

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