ロボット各社が食品業界に熱視線のワケ

大手が拡販に注力

 ロボットメーカー各社が食品業界に熱い視線を注いでいる。ファナックや安川電機、川崎重工業など大手は、食品業界の現場の実情に特化したロボシステムを相次いで開発。食品メーカーへ売り込んでいる。自動車や半導体など他の製造業に比べ、食品業界でロボ導入は遅れていた。しかし最近は人手不足を背景に、ロボを導入したいとの声は強まっている。大手各社もこれをビジネスチャンスととらえ、拡販に力を入れている。

 川崎重工業は双腕スカラロボット「デュアロ」を使った、コンビニエンスストアのベンダーや総菜企業向けのロボシステムを相次いで開発。ふた付きカップに液体スープを一定量ずつ充填するロボや、おにぎりを6個ずつパック詰めするロボなど。

 コンビニ向け商品は商品の種類が極めて多く、中身も頻繁に変わるため、従来は人手作業に頼っていた。しかし最近は人手不足で作業員を募集しても人が集まらなくなり「ロボの需要が増えている」(川重)と話す。

 ファナックも食品業界向けに、パラレルリンクロボやスカラロボを使ったロボシステムを開発。パラレルリンクロボは可搬重量が小さいものの、作業速度が速く食品業界に向くという。3次元ビジョンセンサーも新型機種を装備し、従来型より高速で仕分けや搬送が行えるようになった。頻繁に商品の中身が変わる食品業界の実情に合わせ、タブレット端末でプログラミングできるシステムも開発、拡販を図る。

 安川電機は安全柵なしに人と同空間で作業できる人協調ロボシステムや、フレキシブルなライン構成ができるトッピングロボシステムを開発している。トッピングロボは、さまざまなグリッパーに対応して食品を傷つけずにつかむことができ、人とほぼ同じ幅寸法のため、作業通路を圧迫しないのが長所だ。三菱電機や村田機械、デンソーなども食品向けのロボを開発している。

日刊工業新聞2018年6月13日

日刊工業新聞 記者

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06月13日
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一般製造業向けのロボと違い、食品ロボは短期間で変わる中身への対応が求められる。ある商品向けに自動化できるロボシステムを開発しても、商品が変わると全く役立たないというケースも少なくない。エンジニアがティーチング作業をその都度やり直さなければならないことも、コストや時間面で導入のネックとなっていた。ただ、最近はロボメーカーも現場の実情を理解し、対策を立てたロボシステムができつつある。人工知能(AI)や画像処理技術の進歩がうまく組み合わされば、食品向けにロボが大量普及する可能性もある。
(日刊工業新聞社・嶋田歩)

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