きょう15年ぶりに火星と大接近、人は住めるようになるの?

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ESAの火星探査衛星「マーズ・エクスプレス」
 空に輝く赤い星―火星。きょう31日に地球との距離が5759万キロメートルまで近づく。6000万キロメートル以内に近づくのは、2003年以来15年ぶり。さらに火星は液体の水がある可能性も指摘されるなど、多くの科学的な成果が積み上がっている。米国は火星を月の次の有人探査目標に位置付ける。火星はこれから、もっと身近な惑星になるかもしれない。

 赤く見える火星は肉眼で確認できる。最接近した際には、最も離れている時期に比べ80倍の明るさになる。31日は、東京では19時前に南東の空から昇り、真夜中に真南の空に移動する。赤く見えるのは火星の表面が酸化鉄を多く含む土や岩で覆われているからだ。また火星は太陽の周囲を公転しているため、星座の中を移動するように見える。

 太陽から見て火星は地球より外側を公転している。公転周期は地球が365日に対し火星は687日。地球は2年2カ月の周期で火星に追い付き追い越す。この時に火星と地球の距離が最も近くなり、火星が最も大きく見える。

 地球に最接近する時の距離は毎回異なり、6000万キロメートル以内に近づく大接近は、15―17年に1度の機会となる。次の大接近は35年9月11日で5691万キロメートルとなる。

 もう少し火星に近づいて見ると詳細な火星の姿が浮かびあがる。すでに海外の探査機が火星の周回軌道や火星への着陸を果たし多くのことが分かってきている。他の天体に比べ地球と環境が似ているため、火星に人が住めるのではと期待されている。そんな中、ビッグニュースが世界を駆け巡った。イタリアの研究グループが、現在も火星に水がある可能性を示す論文を米科学誌サイエンスで発表。欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」のレーダー機器が火星に幅20キロメートル程度の液体の水を検知した。

 火星にはかつて水が豊富にあったとする証拠が見付かっているが、今も水が存在する可能性を示した研究成果は初めてだ。この水は塩分が高く、生命の存在に関して懐疑的な意見もある。だが水を資源として使えれば、さらに遠くの天体に行く際の燃料などに使えるかもしれない。

35年めど有人探査


 実際に火星へ行きたい。そんな夢物語も現実になりつつある。

 米航空宇宙局(NASA)は35年ごろに火星への有人探査を実現するべく計画を進めている。まずは20年代後半に月近傍有人拠点、さらに30年にも月面着陸し月面基地を設営後、火星に向かう準備を進めようとしている。

 米国が中心となるこうした国際宇宙探査計画に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)も宇宙滞在技術や輸送技術など得意分野をアピールし参加を目指している。さらに米宇宙ベンチャーのスペースXは24年にも火星に宇宙飛行士を送る計画を立てており、火星への有人探査は現実のものとなりつつある。

 火星に行くには往復2年以上に及ぶ長期輸送手段や宇宙放射線の影響など、解決するべき課題は多い。だがJAXA宇宙飛行士の金井宣茂さんは「かつては空を自由に飛べると考えた人はいなかったが、今では一般の人が飛行機を利用しいろいろな場所に行けるようになった。宇宙に関しても同じような時代が来る」と強調する。

 

日刊工業新聞2018年7月31日

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赤く輝く火星を見上げ、火星に自由に行ける時代の到来を期待しよう。 (日刊工業新聞社・冨井哲雄)

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